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【初心者】成形条件の作り方 基本 射出成形 プラスチック成形

技能検定向けの【条件作り】の記事ではありません。

射出成形の基本的な成形条件の作り方になりますので、参考にして下さい。

これから技能士を目指す【初心者向け】の解説になります。

本日のテーマは、射出成形における成形条件の作り方基本編です。

成形条件の作り方は、金型形状や不良状況によって様々です。

一概に「これが正解」というものはありません。

顧客要求に合致することが重要です。

成形条件の作り方 基本編

①充填速度

(ⅰ)充填速度の考え方

金型キャビティ内でのフローフロント(流れの先端)の速度を流動断面積に応じて変化させることが基本になります。

まず、1速で充填し、成形品の状態を観察しながら、1-5段階の速度変化を付けて最善をつめていきます。

【充填速度による不良】

  • 外観上の不良(ジェッティング、フローマーク、エア模様、ウエルドライン、ガス焼けなど)
  • 機能・形状の不良(ソリや残留応力の増加による変形)
  • 重量がバラツキ不安定    などです。

(ⅱ)充填速度の設定方法

1ショット目は、1速でオーバーパックしない様な計量値・VP切換位置で、ショートショットから成形します。

その後、VP切換値を変更しながら、徐々に充填量を増やしていきます。

充填速度で充填する目安量は、金型キャビティ内の85~95%程度が一般的です。

【ショートショット法の例】

計量完了~VP切換位置を増やしていき、どの程度充填されるか調べて行く方法です。

下の図の様に徐々に充填量を増やしていきます。

この時に、ゲート部、金型構造(リブなど流動に対しての障害、肉厚の差)によって外観不良が発生した際は、充填速度を多段階設定にして、各スクリュー位置と金型内の通過位置を確認しながら速度を調整していきます。

発生した不良対策は下記の「不良まとめ」を参考にして下さい。

成形不良のまとめパート①です 各事象ごとに 事象の確認 成形機・成形条件による要因 金型による要因 ...
成形不良のまとめパート②です 各事象ごとに 事象の確認 成形機・成形条件による要因 金型による要因 ...

【経験談として】

金型の構造、製品の大きさ、成形機の選定(スクリュー径)、樹脂の流れやすさなど色々な要因があり、初めから計量値や充填速度を見極めるの難しいです。充填し過ぎ(オーバーパック)て金型を破損させてしまうのはNGです。金型の構造によっては、ショートショットだと離型できないこともありますが、少しづつ充填量を増やしていく方法が最善です。

基本的には、1速で不良発生なく充填できるのが理想です。ただそんなに上手くはいきません。フローフロント(流れの先端)、スクリュー位置、不良の関係をよく確認することで、不良に効果のある条件が見えてきます。

適当に運よく条件が出てしまうこともありますが、それでは今後トラブルが発生した時に対応出来ません。しっかり根拠をもって条件作りを心がけましょう。根気が大事です。

②保圧

(ⅰ)保圧の考え方

保圧工程は、冷却と共に進行する樹脂体積の減少を補う働きが基本です。

充填速度で85~95%まで充填し、その後保圧に切り替えます。保圧をかけ過ぎるとオーバーパック、バリや変形、離型不良に繋がります。

一般的には2圧程度で設定します。肉厚製品やバリが発生しやすい金型では、3~4圧で設定します。

【保圧工程で発生する不良】

  • 保圧圧力が低い(保圧時間が短い)と発生する不良は、ヒケ、ボイド、寸法過小
  • 保圧圧力が高い(保圧時間が長い)と発生する不良は、バリ、オーバーパック、寸法過大

(ⅱ)保圧の設定方法

①保圧時間

保圧時間の合計時間は、通常、製品の【ゲートシール時間】が目安となります。

製品の「ヒケ」状態を目視で確認し、許容できる程度の保圧を短時間でかけます。

徐々に保圧時間を上げて行くと、比例して製品重量も上がっていきます。そしてある一定の時間以降は製品重量は安定します。

この重量が安定した時間を、【ゲートシール時間】と言います。このゲートシール時間が、保圧時間の合計時間の目安となります。

一般的に、【合計保圧時間=ゲートシール時間×1.1】と言われています。

【ゲートシール時間計測】

保圧時間

(sec)

製品重量

(g)

0.5 100.1
1.0 100.3
1.5 100.6
2.0 100.8
2.5 100.9
3.0 101.0
3.5 101.1
4.5 101.2
5.5 101.2
6.0 101.2

この場合だと、4.5(sec)×1.1=4.95(sec)ですので、5.0(sec)が適正な合計保圧時間になります。

【注意点】

  • ゲートシール時間は、金型温度や、樹脂のスクリュー内滞留時間によって大きく変化します。連続成形中にサンプリングをして下さい。
  • 仮基準の充填速度や保圧を変えてしまうと、このゲートシール時間も変わってきます。
②保圧

合計保圧時間が決まったら、圧力を設定していきます。

目視にて、ヒケ・バリなどの外観状況を確認しながら、徐々に保圧を上げていきます。

一般的な保圧の見極めとしては、「下限」と「上限」を探っていき、その中間を基準とします。

  • 下限=ヒケが許容される
  • 基準=中間
  • 上限=バリが許容される

客先にて「製品の良品サンプル」や、「嵌合物(組み立てた時の相手)のサンプル」などと比較して要求事項に沿った製品を目指します。

【経験談として】

保圧時間と保圧の設定もシンプルが最善です。

金型設計段階で肉厚不均等や、金型の精度不良などで、条件だけで客先要求を満たす製品を作ることが難しいことも多々あります。

お客様や、設計担当者と相談して慎重に条件を作っていく事が重要です。

また、製品は収縮します。原則として寸法測定は次の日です。収縮分を考えて製品作りをすることも重要です。

考察

本日は、「成形条件の作り方」をテーマにお話しさせていただきました。

【経験】に勝るものはありません。

ですが、「転ばぬ先の杖」と言う通り、先に「知識」を付けることでトラブルやミスなどを防止できます。

本日の基本の知識を生かしていただき、積極的に条件作りのチャレンジをしてみてください。

ご活躍を期待しております。

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【注意】技能検定過去問題集・解説書は、数年毎に改訂されます。本記事の執筆は平成31年3月現在の最新情報になります。ご注意ください。…