こんな方におすすめ
- 成形条件の作り方って何?
- 条件出しの手順ってあるの?
- 成形条件の考え方
- なぜを理解して条件出しできてる?
射出成形における
【成形条件の作り方 基本編】です。
いかに良品を製造するか?!
成形条件、条件出し、条件調整、
成形条件の作り方、成形出しの手順は、
調べても簡単に情報が見つかりません。
射出成形業界では、各社がライバル関係です。
仕事を取り合う関係上、
そのコアな技術は公になりにくく、
そのノウハウは、先輩から後輩へと
受け継がれていくイメージです。
本日は、そんな射出成形の肝
【成形条件の作り方 基本編】をシェアしていきます。
- 成形条件の作り方
- 各条件の設定方法
- 専門用語の解説
- 成形条件を決める手順
- 注意点 など
初心者、若手に向けて
1から成形条件を作るポイントを
全体像から詳細まで
噛み砕いて解説していきます。
この1記事で射出成形の成形条件に関して
網羅する内容になります。
かなりの長文になりますので、
中級者以上の方は、
下記 目次から
欲しい情報まで
ジャンプして御覧ください。

最適な成形条件出しをしよう👍
目次
成形条件の作り方 基本編
成形条件の作り方を解説する前に
射出成形の基本から解説していきます。
1.射出成形とは
射出成形は、射出成形機を使って
プラスチック原料を溶かして、
金型へ充填する加工です。
射出成形機は大きく分けて
2つのユニット
コントローラーで構成されています。
【射出ユニット】
プラスチック原料を溶かして金型に充填します。
【型締ユニット】
金型を取り付け、開閉をします。
金型がピッタリと締まった時、
数十トン〜数千トンの力がかかります。
【コントローラー】
型締、射出条件を設定します。
2.射出成形のメリット
射出成形のメリットは、下記の通りです。
- 同じ形状
- 大量生産
- 安価
- 自由なデザイン
パカパカパカパカ同じ製品を沢山作れます。
しかし、その反面
一度不良が発生すると、
大量に不良を生産してしまいます。
良品を作るには、
良い成形条件で生産しなくてはいけません。
3.良い成形条件とは
良い成形条件ってどんな条件?
定義ってあるの?
良い成形条件とは、
量産中のバラツキを
許容出来る条件のことです。
量産中、製品は絶対にバラツキます。
- 重量のバラツキ=重い、軽い
- 外観のバラツキ=シルバー、離型傷、練り込み異物
- 寸法のバラツキ=大きい、小さい
- 成形サイクルのバラツキ=速い、遅い
製品は、同じ様に見えても、1つ1つが少しずつ違います。
このバラツキを、製品の規格内に収めることが重要です。
それぞれの製品には予め決められた品質規格があります。
【製品の品質規格の例】
- 重量 500±5g
- 外観 シルバーなき事、離型傷なき事、
練り込み異物 1視野内0.3㎜²が1つ - 寸法 250±2.5mm
品質規格内に収まる製品が、良品です。
1つでも外れてしまえば、不良品です。
品質規格に収まるような成形条件を決めていきます。

いかに規格内に収めるかがポイントだよ👍
4.射出成形の工程チャート
まずは、射出成形の全体像を見ていきましょう。
【射出成形の工程チャート】
step
1成形スタート
金型を閉めて、成形スタートする。
step
2射出(充填)
溶かした原料が固まる前に、素早く充填。
step
3保圧
金型からの逆流防止、収縮分の補充。
step
4冷却&計量
金型内で冷やす。
この冷却時間中に、次のショット分の原料を計量する。
step
5取り出し
金型を開いて、製品を取り出す。
step
6繰り返す
ステップ1成形スタート〜5取り出しを1サイクルと呼びます。
このステップを繰り返していきます。

基本的な考え方は一緒だよ。
5.成形条件にはどんな項目があるのか?
良品を作るためには、様々な項目をそれぞれ設定していかなくてはいけません。
- 射出ユニット
- 金型ユニット
- その他の条件
に分けて解説していきます。
5−① 射出ユニットの条件確認
射出ユニットは、加熱筒内でプラスチック原料を溶かし、
金型に高速で充填します。
射出ユニットの条件は、下記の通り
- 加熱筒温度
- 計量完了位置
- 射出圧力(1次圧)
- 射出速度
- VP切り換え位置
- 保圧(2次圧)
- 保圧時間
- 冷却時間
- 計量(スクリュー回転)
- 背圧
- サックバック
1つずつ用語と解説をしていきます
5-①-1. 加熱筒温度
射出成形機の加熱筒には、バンドヒーターと温度センサーがついています。
先端からそれぞれ別個に温度設定していきます。
【加熱筒温度条件の例】
使用原料PP(ポリプロピレン)
ノズル | Zone 1 | Zone 2 | Zone 3 | Zone 4 | ホッパー下 |
200 | 220 | 220 | 210 | 200 | 40 |
原料が落ちるホッパー下は、低い温度にします。
高い温度だとホッパー下で溶けてしまい、スクリューに食い込みません。
溶け始めるZone4は低めの温度設定します。
Zone3 ⇛ Zone1 に向かうに連れ、温度を高くなるように設定します。
ノズル先端は、Zone1から下げて設定します。
加熱筒内にはスクリューが入っています。
フライトと呼ばれる山の間を、プラスチック原料が溶けて行きます。
スクリューの谷間は先端に行くほど太くなります。
原料は溶けながら圧縮されていきます。
【参考図 スクリューのイメージ】
- フライト外径は太さが均一です。
- 谷間は供給部は細く、圧縮部に進むに連れ太くなっていきます。
(空間が狭くなり樹脂は圧縮されていきます。) - 計量部では、樹脂がより均一に溶融されていきます。
- スクリュー先端を通過し加熱筒先端側へ計量されていきます。
【加熱筒先端に計量された樹脂が計量される様子】
5-①−2. 計量完了位置
射出成形は、1ショットごとに計量します。
スクリューを回転させることで、スクリューは後退していきます。
原料は溶けながら加熱筒先端へ送られていきます。
試作や立ち上げの際、いきなりフル充填するほどの計量位置でのスタートは危険です。
金型に必要以上の樹脂が充填されるとオーバーパックして金型を破損します。
本来は、成形品の元データに則って、
基本重量に合わせて充填量を決めます。
充填量 = 計量完了位置 ー 最小クッション位置
最小クッション位置をいくつにするのかで、
計量完了位置は変わります。
5-①−3. 射出圧力(1次圧)
射出成形で使用されるプラスチック原料は、熱可塑性樹脂です。
熱可塑性樹脂は、温めると溶ける。冷ますと固まる性質です。
溶かした原料は、金型に充填された瞬間から固まっていきます。
射出は、素早く充填することがポイントです。
素早く充填するには、スクリューを速く前進させなくてはいけません。
素早い速度を出すために、射出圧力が必要です。
必要な射出速度を出せるなら、それ以上高い射出圧力は不要です。
5-①-4. 射出速度
射出工程(充填初期〜90%位まで)は速度で管理する方法が一般的です。
計量完了位置から、射出をスタートし、素早く金型内に充填していきます。
金型内の形状によって、必要な速度は変わってきます。
形状に合わせて多段的に射出速度を設定していきます。
射出成形で、金型内に溶けた原料を充填するポイントは、流れの先端(フローフロント)を意識することです。
金型が閉じた状態は、製品部は空洞になっています。
その空洞に、充填されるフローフロントがどうやって流れていくかをイメージします。
複雑な形状に合わせて、フローフロントの速度を調整しなくてはいけません。
成形品の状態を観察しながら、1-5段階の速度変化を付けて最善をつめていきます。
【射出速度の設定 例】
- 肉が薄い形状は流れにくい:素早い速度が必要
- ガス逃げの悪い箇所:ゆっくり充填しガスを上手く逃がす
- 流れが悪く湯シワ不良:速度を上げる
- ボスやリブで流れが分岐してまた合流する箇所の気泡不良:速度を遅くする
射出のポイントは記事後半で詳しく解説しています。
5-①-5. VP切り換え位置
金型内に90%程充填されたら、保圧をかけていきます。
射出⇛保圧に切り替える位置を、VP切り換え位置と呼びます。
金型内において、樹脂が最後に行き着く箇所を【流動末端】と呼びます。
流動末端の外観を良く確認することが大切です。
条件出しする時は、VP切り換え位置まで充填し、保圧を0Mpaに設定します。
切り換え位置まで充填した時、製品を見てどの位充填されているか把握しておきましょう。

英語の頭文字を取ってVP切り換え位置と言います👍
5-①-6. 保圧(2次圧)
保圧の役割は、
- 金型からの逆流防止
- 冷却と共に進行する樹脂体積の減少を補充 です。
充填速度で90%まで充填し、その後保圧に切り替えます。
保圧をかけ過ぎるとオーバーパック、バリや変形、離型不良に繋がります。
一般的に、保圧設定は2段階で設定します。
肉厚製品やバリが発生しやすい金型では、3~4圧で設定します。
【保圧工程で発生する不良】
- 保圧圧力が低い(保圧時間が短い)と発生する不良は、ヒケ、ボイド、寸法過小
- 保圧圧力が高い(保圧時間が長い)と発生する不良は、バリ、オーバーパック、寸法過大
保圧のポイントは記事後半で詳しく解説しています。
5-①-7. 保圧時間
保圧時間の目安は、ゲートシール時間を元に設定していきます。
【ゲートシール時間とは】
金型内のランナーから樹脂は流れて、ゲートを通過して製品に充填されます。
前項で、保圧は、充填した樹脂の逆流防止と、体積損失の補填が目的です。
つまりゲートが冷え固まるまで保圧は製品部に効きます。
逆に、ゲートが冷え固まった後は、いくら保圧をかけても製品部に効きません。
ゲートシール時間の調べ方は、記事後半で解説しています。
5-①-8. 冷却時間
射出⇛保圧の後は、金型内で製品を冷却します。
射出成形で使用されるプラスチック原料は、熱可塑性樹脂です。
その特徴は、熱するを溶け、冷やすと固まります。
金型内に充填された樹脂は、内部配管を通る冷却水にて水冷されます。
金型に接する面から冷えていきます。
スキン層と言います。
スキン層が厚くなる前(薄い段階)に取り出してしまうと、
樹脂は収縮しヒケてしまいます。
製品の外側を冷え固めてから、取り出す必要があります。
冷却時間は、取り出した後製品の寸法に大きく影響します。
【冷却時間と製品寸法の関係】
冷却時間 短い
熱いまま製品を取り出すとその後大きく収縮する
⇛寸法は小さくなる。
冷却時間 長い
冷まして製品を取り出すとその後収縮は少ない
⇛寸法は小さくなりずらい。
また、冷却時間不足によって、取り出しミスが起こることがあります。
【ランナーに起こるトラブル】
十分に固化していないことから、金型内に食いついて離型しない。
または、部分的に取られてしまう。
【製品に起こるトラブル】
エジェクト時、変形してしまうことがあります。

出来る限り最少が望ましいね。
5-①-9. 計量(スクリュー回転)
計量の目安は、冷却時間内に計量完了位置まで計量が完了していることです。
計量は、ゆっくりスクリュー回転させたほうが、より均一に溶融できます。
スクリュー回転数に応じて、時間単位の量は変化します。
スクリュー回転速い⇛短時間で多く計量できる。
スクリュー回転遅い⇛計量するのに時間がかかる。
簡単な計量時間のイメージは、冷却時間 − 1秒位が理想です。
⚠計量の注意点⚠
連続成形中に、原料切れしてしまった時、
自動運転しているとそのまま永遠にスクリュー回転を続けてしまいます。
スクリュー先端の逆シリングが空回りすると、
逆止リングと加熱筒内側が削れてしまいます。
削れた金属片が製品に練り込まれてしまいます。
そうなってしまっては、加熱筒を分解、部品交換や修理が必要です。
必ず全自動運転中は、計量時間の監視をしましょう。

5-①-10. 背圧
背圧は、計量する時、スクリュー後方から前へかける力です。
背圧が高い:計量した樹脂は密度が高くなります。
背圧が低い:計量した樹脂はスカスカです。
計量時、適度な背圧が必要です。
・エアーの巻き込み予防
・溶融混練の効果UP
・計量樹脂の密度安定
逆に、必要以上の背圧は不要です。
また、背圧の大きさで、計量時間も変わります。
背圧が高い:計量に多く時間がかかる
背圧が低い:簡単に計量完了位置まで計量できる
5-①-11. サックバック
サックバックは、計量完了後にスクリュー回転をせず、スクリュー後退することを言います。
サックバックの意味は、計量した溶融樹脂の圧抜きです。
サックバックしないと、型開きと同時に、鼻タレが起こってしまいます。
サックバックを5〜20mm程度取ることで調整します。
逆に必要以上のサックバックは、シルバーやコールドスラッグの原因になります。
製品外観を都度確認し調整が必要です。
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長文になるので少し休憩しましょう🍵
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5−② 型締ユニットの条件確認
型締ユニットの役割は、金型の開閉と、高圧型締、製品エジェクトです。
型締ユニットの条件は、下記の通り
- 型締力
- 低圧金型保護圧力、位置
- 型開閉 位置、速度
- エジェクター 位置、速度、タイミング
1つずつ解説していきます。
5-②-1. 型締力、型厚調整
射出成形では、金型を数十トン〜数千トンというとても強い力で型締めします。
なぜそんなに大きな力が必要何でしょうか?
金型を高圧型締する理由は、
金型に充填した原料をパンパンに押し込んだ時にはみ出さないためです。
型締力が足りないと、射出圧に負けて、充填した原料は金型からはみ出してしまいます。
逆に、型締力が高すぎると、ガスベント(下記にて解説)からのガス逃げが悪くなります。
ショート、湯ジワ、ガスやけの原因になります。
基本的に、製品の投影面積から必要な型締力を計算します。
ただし、成形機の性能や、原料の流動に影響を受けるので、
目安として捉えて、製品現物を見て判断します。
また、近年の射出成形機は、型締ユニットにセンサーが付いており、
自動で最少型締力を検出できる機種も存在します。
高圧型締位置は、最近の成形機は、自動型厚設定で簡単にできます。
【高圧型締位置の設定ポイント】
金型は、型温が上がると膨張します。
(金型温度調節機で加熱した後、HRヒーターUPした後、成形スタート後)
金型が熱膨張すると、事前に設定していた高圧型締位置まで到達しなくなります。
そんな時は、もう一度、自動型圧調整をして高圧型締位置を再設定します。
【ガスベントの解説】
ガスベントとは、金型のキャビコア合わせ面(パーティングライン:PL)に彫られた隙間です。
型締した時は、金型内製品部は空洞です。
空洞部の空気と充填時に発生するガスを上手く逃して原料に置き替えなくてはいけません。
このガスベントを通って金型外へ逃げていきます。
何千〜何万ショット連続成形することで、ガスベントがガスヤニで詰まっていきます。
定期的な金型清掃が必要です。
一般的には、1日に1回、各勤務に1回など頻度を決めて、金型清掃を行います。
また、金型自体の消耗によりガスベント自体が潰れて隙間がなくなっていきます。
ガスベント潰れは、計画的にベント彫り直し修理をします。
5-②-2.低圧金型保護圧力、位置
金型が閉まっていき、ピタッと合わさり高圧型締されます。
低圧金型保護とは、高圧型締前に、何か挟み込んでいる時、停止する保護機能です。
高圧型締直前の10mm程度は、型閉めする力を限りなく低圧、低速に設定します。
金型の一部が破損していたり、
前ショットの製品が残っていたり、
取り出し機の部品が外れて金型内に落ちてしまっている時に
金型に挟み込み、金型を壊してしまいます。
一般的に、低圧金型保護は、タイマーで監視します。
一定時間内に金型が閉まり切らなかったらアラームが鳴るシステムです。
金型が閉まっていき、高圧型締に至ると型閉め完了です。
通常の型閉め時間+1秒程度で監視し、超えればアラームが鳴ります。
5-②-3 型開閉 位置、速度
型開閉時間は、1サイクル時間に直結します。
出来る限り最速が理想です。
基本的な考えは、キャビ、コアが重ならない位置では、高速です。
キャビコアが合わさる位置は、ゆっくり開閉します。
型開閉は、金型の形状構造によって異なりますが、
基本的な設定方法を下記に解説します。
【型閉め条件の設定ポイント】
- まず低速で金型を閉じていきます。
- 型閉め動作の各位置を確認していきます。
各位置の手前を速度変化点に設定します。
①型開き完了位置⇛
②ガイドピンの挿入位置⇛
③キャビコアの合わさる位置⇛
④型閉め完了前10mm⇛
⑤型閉め完了位置
※速度変化点を通過すると速度が変化しますので、
各位置を通過する速度が重要です。 - それぞれの位置で、安全に閉められる速度を入力していきます。
型閉め完了前10mmからは、低速低圧で閉めます。(低圧金型保護)
(金型の形状や構造に合わせて10mm位置は調整が必要) - 手動モードで実際の速度で閉めて動作確認します。
【型開き条件の設定ポイント】
- 低速で金型を開いていきます。
- 型開き動作の各位置を確認していきます。
各位置の手前を速度変化点に設定します。
①型閉め完了位置⇛
②キャビコアが離れる位置⇛
③型開き完了位置手前20〜50mm
④型開き完了位置
※型開き初め〜キャビコアの離れる位置は、金型によって様々です。
(3プレート金型、スライド有り金型など)
安全に開けることが前提になります。
※型開き完了位置手前に速度変化点を設ける理由は、
型開き完了位置のオーバーランを予防するためです。 - それぞれの位置で、安全に開ける速度を入力していきます。
- 手動モードで実際の型開き動作を確認します。
5-②-4.エジェクター 位置、速度、タイミング
金型が型開き完了位置まで開いたら、製品を取り出します。
一般的に、突き出しピン、ストリッパープレート、エアエジェクタ−で、製品を突き出します。
自重落下の製品は、複数回突き出して、確実に突き落とします。
取り出し機で、吸着・チャックする製品は、エジェクター前進限で保持時間を設けるなど
タイミングを合わせる必要があります。
【突き出しピン、ストリッパープレートの条件設定】
突き出す力、速度は、優しく、ゆっくりが基本です。
強い力、速い速度で突き出すと製品が変形したり、
エジェクターピンが折れてしまいます。
突き出しの戻りは、速戻しが基本です。
ゆっくり戻すとバランスを崩してかじることがあります。
エジェクタープレートのガイドにはスプリングが入っており、
均等に戻る様に設計されています。
【エアエジェクターの条件設定】
エアーの力で製品をエジェクトする金型もあります。
エアーの吹き出しに詰まりがないか確認します。
(吹き出し部の金型消耗⇛エアー内に含まれる水分で摺動が悪くなる。)
多点エアーの時は、エアー量のバラツキがないか確認します。
バラツキが有る時は、スピコンを付けて吹き出し量のバランスを調節します。
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6.射出速度の設定方法
1ショット目の射出ポイントは、
- 速度は1速(慣れている人は多段速)
- VP切換位置で、保圧は0に設定
- ショートショットから成形
その後、VP切換位置を前にしていき、充填量を徐々に増やしていきます。
【ショートショット法の例】
計量完了~VP切換位置を増やしていき、どの程度充填されるか調べて行く方法です。
下の図の様に徐々に充填量を増やしていきます。
金型内の充填量が決まったら、充填速度の調整をしていきます。
スクリュー位置に対して、フローフロント位置を意識します
そして製品の外観を見て、不良の発生位置を確認します。
発生箇所に対するスクリュー位置の速度を変更していきます。
・ゲート通過位置で、シルバーが出る ⇛ ゲート通過位置の速度を落とす。
・ボス通過時にウエルドが強い ⇛ 速度を下げる
・湯じわ ⇛ 速度が遅い

7.射出速度の設定注意点
初めから、計量値や充填速度を見極めるの難しい。
- 金型の構造
- 製品の大きさ
- 成形機の選定(スクリュー径)
- 樹脂の流れやすさ など
色々なことを考えながら慎重に成形しましょう。
充填し過ぎ(オーバーパック)て金型を破損させてしまうのはNGです。
ショートショットだと離型できない金型もありますが、少しづつ充填量を増やしていく方法が最善です。
基本的には、1速で不良発生なく充填できるのが理想です。
ただそんなに上手くはいきません。
- フローフロント
- スクリュー位置
- 不良の発生箇所
よく確認し、不良発生箇所に応じた速度調整をしていきましょう。
適当に運よく条件が出てしまうこともあります。
しかし、トラブルが発生した時に対応出来ません。
根拠に基づいた成形条件作りを心がけましょう。根気が大事です。
8.保圧の設定方法
①保圧時間
保圧時間は、製品の【ゲートシール時間】が目安となります。
製品の「ヒケ」状態を目視で確認し、許容できる程度の保圧を短時間でかけます。
徐々に保圧時間を上げて行くと、比例して製品重量も上がっていきます。
そしてある一定の時間以降は製品重量は安定します。
この重量が安定した時間を、【ゲートシール時間】と言います。
一般的に、【合計保圧時間=ゲートシール時間×1.1】と言われています。
【ゲートシール時間計測】
保圧時間
(sec) |
製品重量
(g) |
0.5 | 100.1 |
1.0 | 100.3 |
1.5 | 100.6 |
2.0 | 100.8 |
2.5 | 100.9 |
3.0 | 101.0 |
3.5 | 101.1 |
4.5 | 101.2 |
5.5 | 101.2 |
6.0 | 101.2 |
この場合だと、4.5(sec)×1.1=4.95(sec)ですので、5.0(sec)が適正な合計保圧時間になります。
【注意点】
- ゲートシール時間は、金型温度や、樹脂のスクリュー内滞留時間によって大きく変化します。連続成形中にサンプリングをして下さい。
- 仮基準の充填速度や保圧を変えてしまうと、このゲートシール時間も変わってきます。
②保圧
合計保圧時間が決まったら、保圧力を設定していきます。
目視にて、ヒケ・バリなどの外観状況を確認しながら、徐々に保圧を上げていきます。
一般的な保圧の見極めとしては、「下限」と「上限」を探っていき、その中間を基準とします。
- 下限=ヒケが許容される
- 基準=中間
- 上限=バリが許容される
製品良品サンプル、嵌合物(組み立てた時の相手)のサンプルと、比較して要求事項に沿った製品を目指します。
9.保圧設定の注意点
射出速度と同様に、保圧時間、保圧の設定も、シンプルがベストです。
製品は収縮します。
冷え固まった後に、寸法、重量が良品になる様に
品質基準下限ギリギリでなく、余裕を持たせ成形しましょう。
収縮は、原料の材質や、次工程の冷却時間に大きく左右されます。
収縮分を考えて製品作りをすることが重要です。
金型設計段階で肉厚不均等や、金型の精度不良などにより、成形条件で良品がとれないこともあります。
成形条件が出なければ、金型修正を検討しましょう。
試作段階で、不具合は全て叩いておきましょう。
量産中に必ずトラブルが起こります。
お客様や、設計担当者と相談して慎重に条件を作っていく事が重要です。
考察
本日は、成形条件の作り方をテーマにお話しさせていただきました。
成形条件の設定は射出成形の基本です。
今回解説した知識を、ぜひ現場で使ってもらいたい。
インプットした知識を、現場で使うことで経験になり自身に蓄積していきます。
本日の基本の知識を生かしていただき、積極的に条件作りのチャレンジをしてみてください。