本日は射出成形の基礎固めです。
最大ピーク圧力って聞いたことありますか?
言葉は聞いたことあるけど、実際にどんな意味があって、どの様に見れば良いのかはわかりずらいですね。

プラ太郎
初心者、中級者向けに今さら聞けない最大ピーク圧を簡単に解説していきます。
1.最大ピーク圧とは
最大ピーク圧とは、充填時、射出装置にかかる最大の圧力です。
充填時、樹脂の流れを見て行きましょう。
下図の様な金型に充填していきます。緑が樹脂です。
【あらかじめ設定した成形条件】
パラメーター |
設定値 |
射出圧力 |
100mPa |
射出速度 |
70mm/sec |
計量位置 |
50mm |
VP切換位置 |
10mm |
ここでは、保圧は使わず速度のみで充填していきましょう。
【充填イメージ】
1.まず50mmまで計量して樹脂を準備します。

2.金型を締めて、充填していきます。
スクリューは前進し、樹脂は金型内に扇型に充填されます。

3.さらにスクリューは前進していきます。

4.VP切換え位置10mmまで充填すると、90%ほど充填できました。

この射出速度と射出圧力の波形を見て行きます。
【射出速度の波形】
計量位置から充填が始まり、射出速度は70mm/Secまで上がっていきそのままキープされます。

【射出圧力の波形】
射出速度70mm/Secに向かって速度が上がっていくに連れ、射出圧力も増えて行きます。
樹脂の先端はどんどん冷え、金型内のスペースも減っていくので、流れにくくなっていきます。
同じ速度で充填していくと、力はどんどん必要になりますね。

この条件の時、充填ピーク圧は、下図の黄色○になります。

2.最大ピーク圧で工程監視
設定する射出圧力は、最大ピーク圧より少し高い程度で十分です。
高過ぎる設定では、金型トラブル(オーバーパック)時、その差分金型に充填させてしまいます。
最大ピーク圧は、安定成形中はほぼ一定です。
トラブル発生時に、最大ピーク圧の上下限監視をすることで、金型の破損、スクリューのトラブル等を監視します。
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