本日は、射出成形工場に勤務される方向けの「電気の基本」です。
電気の知識は、射出成形の仕事に直結しておりますが、苦手な方が多いと思います。
【電気が苦手な理由】
- 電気回路とか複雑で難しい。
- 間違えたら機械を壊してしまう。
- 感電したら怖い。
- 電気に関する教育を受けていない など
とっつきにくい分野ではありますが、遅かれ早かれ立ちはだかる「壁」です。
射出成形工場に勤務した1年生向けにとっては、「何がわからないかわからない」状態だと思いますので、【電気の基本】を1から順番に解説して行きます。
射出成形の仕事をする上で必要な「電気の知識」を学んでいきましょう。
[ad]
目次
1.電圧、電流、抵抗
(ⅰ)電圧
水が高い所から低い所へ流れる様に、電気も電圧の高い所から低い所へ流れます。この位置の差が電圧です。
水圧のイメージ
電圧のイメージ
電圧の単位は「V(ボルト)」です。
電圧が0だと電気は流れません。また、電圧の数字が大きいほど電圧が高くなります。
【いろいろな電圧】
①乾電池1.5V
②コンセント100V
③コンセント200V
[ad]
(ⅱ)電流
電気の流れのことです。簡単に説明すると、電流が大きいと電気がいっぱい流れます。
単位は、「A(アンペア)」です。
どの家庭にも電気の分電盤が設置してあり、30Aとか40Aとかのブレーカーが付いていると思います。これは、MAX電気がどの位流れるかということです。
(ⅲ)抵抗
「抵抗する」「はむかう」ことなどの意味です。
電気の世界でいうと、電気の流れに抵抗するもののことです。
電池から電気が流れる回路内に、電球があります。この時、【電球=抵抗】になります。
抵抗の単位は、「Ω(オーム)」です。
(ⅳ)電圧・電流・抵抗の関係
電圧・電流・抵抗の間には切っても切れない関係が成り立っています。
「オームの法則」は聞き覚えがあるのではないでしょうか?電圧=V、電流=I、抵抗=Rの回路では、必ずオームの法則が成り立ちます。
【オームの法則】
- 電圧=電流×抵抗
- 電流=電圧÷抵抗
- 抵抗=電圧÷電流
[ad]
2.電気の流れ方
(ⅰ)直流
電気の流れの向き、大きさが一定の流れ方です。(例)乾電池
(ⅱ)交流
電気の流れる向き、大きさが周期的に変化する流れ方です。(例)コンセント
(ⅲ)直流と交流の違い
直流:電池式の懐中電灯→電池の向きが+-逆だと使えない。
交流:コンセントのプラグをどちらの向きに差しても使える。
3.抵抗のつなぎ方
(ⅰ)直列回路
電球をつなぐ時、1本の電線に次々につないでいく回路です。
1つの電球が切れると全ての電球が切れてしまいます。
(ⅱ)並列回路
それぞれを電源から配線してつなぐ回路です。
1つ切れても他は切れません。
[ad]
4.電気の知識 現場で活用
(ⅰ)電圧の使い分け
まず、射出成形機や、周辺機器を使うためには簡単に分けて
- 動作をする「交流AC200V」
- 制御をする「直流DC24V」 の電気が必要です。
1.動作をする「AC200V」には2種類あります。
①単相200V
こちらは100Vコンセントの2倍とイメージして下さい。2本線で接続します。(3本目緑はアースです。)
100Vコンセントのプラグを逆向きに差しても使えるように、こちらも正逆関係なく作動できます。
【使用箇所】
・成形機加熱等ヒーター
・ベルトコンベヤ(単相モーター)
②三相200V
こちらは黒白赤3本で配線する200Vです。(4本目緑はアースです。)
モーターを回すのに効率的な配線方法になります。
※注意
三相200Vは、黒白赤3本の繋ぎ方によって、正転か逆転になります。
三相モーター本体に、回転の向き(➔マーク)が記載されていますので、逆転の時は、黒白赤の内2本を反対に接続する事で正転になります。
【使用箇所】
・成形機モーター
・乾燥機モーター
・温調機モーター
・ローダーモーターなど
2.制御をする「直流DC24V」
射出成形機、周辺機器の「制御」をになうのが直流DC24Vです。
成形機や周辺機器の「脳みそ」部分にあたる電気信号のやり取りは、直流24Vで行われています。
成形機の制御盤内に繋ぎこまれているAC200Vから、変圧器をつかってDC24Vに換えています。
成形機・周辺機器の信号のやり取りもこのDC24Vで行われています。
リレーやタイマーを使用した改造などは、基本的にこちらのDC24V回路を組んでいきます。
【使用箇所】
成形機・周辺機器の 制御全般。(例)成形機と周辺機器の連携、安全装置などの回路など。
(ⅱ)電流の使い分け
200Vのコンセントやブレーカーには、さまざまな値が記載されています。
「20A」「30A」「50A」「125A」など
これは、電流の容量です。
成形機や周辺機器には、「AC200Vをどのくらいの量を使いますよ。」という定格電流が決まっています。
取り扱い説明書に必ず記載があります。
(例)電気の使用量
1.温調機 定格電流30A=30Aまではいかない位
2.ローダー 定格電流20A=20Aまでいかない位 となります。
この時、
1.温調機 定格電流30Aなのに、20Aのコンセントに接続していると、使用量オーバーの過電流で、ブレーカーは落ちてしまいます。
2.ローダー 定格電流20Aは、30Aのコンセントにつないで使用可能です。
5.まとめ
基本の知識を覚えるだけでは、何の役にも立ちません。
覚えた知識を活用していきましょう。
【インプット】したら【アウトプット】することでどんどん身についていきます。
これを意識すると、もっと「知識」を得たいと思う様になります。
「知識を得る」そして「アウトプット」まさに知識のPDCAサークルです。
もっともっと射出成形が好きになります。一緒に勉強していきましょう。