射出圧力(1次圧)とは
射出成形加工における射出圧力(1次圧)とは、金型に樹脂を充填するさい、計量完了位置からVP切り替え位置までの圧力値のことを言います。
射出圧力(1次圧)設定 | 特徴 |
高い | 製品が過充填になり、バリやオーバーパックになります。 |
低い | 充填に必要な速度がたたないため、充填途中で失速しショートしてしまいます。 |
射出圧力(1次圧)条件の設定ポイント
射出成形で使用されるプラスチック原料は、熱可塑性樹脂です。熱可塑性樹脂は、温めると溶け、冷ますと固まる性質です。
溶かした原料は、金型に充填された瞬間から固まっていきますので、素早く充填することがポイントです。
素早く充填するには、スクリューを速く前進させなくてはいけません。
素早い速度を出すために、射出圧力が必要です。
ただし必要な射出速度を出せるなら、それ以上高い射出圧力は不要です。
射出圧力(1次圧)の、ピーク圧の見方や設定方法は、下記記事から⇩
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射出圧力設定と成形不良の関係
射出圧力の条件設定に起因する不良を解説していきます。
①バリ
射出圧力が高いと、バリが発生します。射出速度を立たせる分より過剰な設定は不要です。
□対策□
充填途中のバリは、充填を多段制御にし、バリが発生している箇所を通過する射出圧力・射出速度を下げます。
流動末端のバリは、射出一次圧ではなく、保圧や計量の数値を下げることで改善します。
②湯ジワ、ショート
射出圧力が低いと、射出速度をいくら高く設定しても速度が立ちません。金型内の途中で失速し、湯ジワやショートになります。
□対策
充填に十分な射出速度が立つように、射出圧力を設定することで改善します。
射出速度の設定と実測を見比べて、実測が立っているか確認しながら必要最低限の圧力設定に調整します。
③原料ロット変更時の注意
成形中に原料ロットが変更になることで、原料の流動が変化します。変更点では、原料の流れが良くなるとバリや気泡が発生しやすくなります。一方流れが悪くなると、ウェルドラインが強くなったり、流動末端のショート・湯ジワなどが発生します。
□対策
変更点に立ち会うことが重要です。MFRの違いが成形品にどう影響するかは、実際に変わってみないとわかりません。原料ロットの変更点がわかるように事前に投入をコントロールしましょう。
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