射出速度とは
射出成形における射出速度とは、金型に充填する速度です。
計量完了位置からVP切り換え位置までの充填速度を射出速度といいます。
保圧時の充填速度の設定もしますが、保圧は圧力でコントロールします。
射出速度設定 | 特徴 |
速い | 製品が過充填になり、バリやオーバーパックになります。 |
遅い | 充填途中で失速し湯ジワや、ショートします。 |
射出速度条件の設定ポイント
射出工程(充填初期〜90%位まで)は、速度で管理するのが一般的です。
計量完了位置から、射出をスタートし、素早く金型内に充填していきます。
金型内の形状によって、必要な速度は変わります。形状に合わせて多段的に、射出速度を設定していきます。
射出成形で、金型内に溶けた原料を充填するポイントは、流れの先端(フローフロント)を意識することです。
金型が閉じた状態は、製品部は空洞になっています。その空洞に、充填されるフローフロントがどうやって流れていくかをイメージします。
複雑な形状に合わせて、フローフロントの速度を調整します。
成形品の状態を観察しながら、1-5段階の速度変化を付けて最善をつめていきます。
射出速度の設定 例
- ゲート通過は、ゆっくりと充填
- 肉が薄い形状は流れにくい:素早い速度が必要
- ガス逃げの悪い箇所:ゆっくり充填しガスを上手く逃がす
- 流れが悪く湯ジワ不良:速度を上げる
- ボスやリブで流れが分岐してまた合流する箇所の気泡不良:速度を遅くする
ショートショット法という条件出しの方法、射出速度の設定ポイントは記事後半で詳しく解説しています。
ポイント
射出圧力(1次圧)が不足していると、設定した射出速度に到達しません。設定速度に対して実測速度がでているか実測モニターや波形を確認しましょう。
射出速度条件と成形不良の関係
射出速度の条件設定に起因する不良を解説していきます。
①シルバー
射出速度が速いと、製品表面や、リブやボス周辺にシルバーが発生します。
□対策□
充填時のガス巻き込み、ガス抜けを意識して射出速度を調整しましょう。
事象箇所の射出速度をピンポイントで下げることで改善します。
射出速度を下げることで、流動末端の流れが悪くなるので、ショート、湯ジワに気をつけましょう。
②ウェルドライン
射出速度が速いと、袋小路や、ボスの周辺(流動が二手に別れた後の合流地点)において、ウェルドラインが強く出ることがあります。
ガス抜けに対して射出速度が速いことが原因です。
□対策□
ウェルド発生箇所の射出速度を下げることで改善します。
ゆっくり流してガス抜けを良くするイメージです。
または、分岐から合流までに時間がかかっている時は、射出速度を速めて固化する前に合流させることも有効です。
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