計量完了位置とは
射出成形における計量完了位置とは、1ショット分の樹脂を計量したスクリューの位置です。
計量完了位置設定 | 特徴 |
多い | 製品が過充填になり、バリやオーバーパックになります。 |
少ない | 1ショット分に対して不足すると、ショートします。 |
【計量完了位置のイメージ】
計量開始位置条件の設定ポイント
射出成形は、1ショットごとに計量します。
スクリューを回転させることで、スクリューは後退していき、原料は溶けながら加熱筒先端へ送られていきます。
その時、背圧(スクリュー後方から圧力をかけること)をかけることで溶融樹脂の密度を上げていきます。
(背圧の条件設定は、後の章で詳しく解説しています。)
試作や立ち上げの際、いきなりフル充填するほどの計量位置でのスタートは危険です。
金型に必要以上の樹脂が充填する(オーバーパック)と金型を破損することがあります。
成形品の元データに則って、基本重量に合わせて充填量を決めます。
充填量 = 計量完了位置 ー 最少クッション位置
最少クッション位置をいくつにするのかで、計量完了位置は変わります。
-
射出成形の最小クッション値とは? 最小クッション値の意味と管理方法
続きを見る
射出成形に慣れてくれば、どのくらい計量すると、どのくらい充填できるかがわかってきます。
オーバーパックしない程度の計量完了位置から充填していくことで、徐々に条件を詰めていきます。(ショートショット法:後の章で解説しています。)
計量完了位置条件と成形不良の関係
計量完了位置の条件設定に起因する不良を解説していきます。
①ショート、バリ
計量完了位置が、不足しているとショートが、多すぎるとバリが発生します。原料ロットや、成形環境(工場温度、湿度)のバラツキを許容できる数値を設定しましょう。
□対策□
・計量完了位置⇛VP切換え位置⇛最少クッション位置までの溶融樹脂が、金型内に充填されます。立ち上げから、成形が安定するまで、10分〜1時間ほどかかります。立ち上げたら、別の型替えや作業に行きたいところですが、しばらくは観察と調整が必要です。
また、ショート、バリ発生を検知できる様に、最少クッション位置を監視しましょう。
②樹脂漏れによるショート
ノズルタッチがずれていたり、ホットランナー金型のパンクなど、計量位置が問題なくてもショートしてしまうことがあります。
□対策□
定時の点検をしましょう。ノズルの樹脂漏れ、金型の目視が有効です。ホットランナーのパンクは目視では判定しずらいトラブルです。最少クッション位置を監視して予防しましょう。
成形条件の作り方
-
【保存版】射出成形 成形条件の作り方 条件出しの基本 特級技能士が徹底解説
続きを見る