保圧(2次圧)とは
射出成形加工における保圧(2次圧)とは、充填樹脂を金型内にパンパンに押し詰める保持圧力のことです。
保圧(2次圧)設定 | 特徴 |
高い | 製品が過充填になり、バリやオーバーパックになります。 |
低い | 流動末端まで樹脂が押し込めず、ショートします。 また、肉厚部では収縮分をおぎなえないとヒケます。 |

保圧条件の設定ポイント
保圧の役割は、主に2つです。
- 金型からの逆流防止
- 冷却と共に進行する樹脂体積の減少を補充
充填速度で90%まで充填し、その後保圧に切り替えます。
保圧をかけ過ぎるとオーバーパック、バリや変形、離型不良に繋がります。
一般的に、保圧設定は2段階で設定します。肉厚製品やバリが発生しやすい金型では、3~4圧で設定します。
保圧条件と成形不良の関係
保圧条件と成形不良の関係は下記の通りです。
①ヒケ
流動末端におけるヒケは、樹脂の充填量が足りていないことが原因です。
肉厚部のヒケのうち、保圧条件に関係ある場合は、樹脂の収縮分の樹脂を詰め込めていないことが原因です。
□対策
ヒケには、保圧を上げ、樹脂の充填量を増やすことで改善します。
※肉厚部のヒケは、ゲート形状や、ゲートシール時間、冷却時間、冷却水の冷却温度なども関係してきます。
②バリ
保圧が高いと、PLやスライド、EJの合わせバリに、バリが張ることがあります。
□対策
保圧を下げて、加充填をやわらげます。
ただし、充填の途中のバリは、保圧を変えても変化しません。これは、射出速度で充填している箇所のバリのためです。充填途中のバリは、事象個所の射出速度を下げることで改善します。
関連
流動末端とは?
金型内に充填された樹脂が最後に行き着く箇所を、流動末端と呼びます。
流動末端は、ショート発生箇所です。
充填不足によるショートは、この流動末端で起こります。
また、充填の勢いが低い、保圧が低いと、流動末端で、湯ジワやヒケが発生します。
流動末端で、様々な成形不良が発生しやすいため、良く確認することが大切です。
成形条件の作り方
-
-
【保存版】射出成形 成形条件の作り方 条件出しの基本 特級技能士が徹底解説
続きを見る