技能検定 1級2級 射出成形作業 実技試験 合格マニュアル(特級技能士プラ太郎 著)実技対策note累計500本突破

成形条件

射出成形の保圧とは?役割と設定の目安|多段保圧・ヒケ・バリの対策を図解

14,628

結論:射出成形の保圧とは

  • 保圧(2次圧)とは、充填した樹脂を金型の中にパンパンに押し詰めておく圧力のことです。
  • 金型の中の約90%を射出速度で充填し、VP切り換え位置で保圧に切り替えて、残りを押し込みます。
  • 役割は2つ。①金型からの逆流を防ぐ、②冷えて縮む分の樹脂を補うことです。
  • 低すぎるとヒケ・ショート、高すぎるとバリ・オーバーパック・変形。2段(多いときは3〜4段)で設定するのが基本です。

1.保圧(2次圧)とは

射出成形加工における保圧(2次圧)とは、充填樹脂を金型内にパンパンに押し詰める保持圧力のことです。

保圧の流れ 90%を速度で充填しVP切り換えのあと保圧で押し込む 多段保圧のグラフ

保圧(2次圧) 特徴
高い 製品が過充填になり、バリやオーバーパックになります。
低い 流動末端まで樹脂が押し込めず、ショートします。肉厚部では収縮分をおぎなえないとヒケます。
プラ太郎
金型内に90%は速度で充填し、VP切り換え位置で「保圧」に切り替えます。

1-1.保圧の役割は2つ

  1. 金型からの逆流防止:ゲートが固まるまで押さえておかないと、樹脂が金型からノズル側へもどってしまいます。
  2. 収縮分の補充:樹脂は冷えると体積が減ります。減った分を押し込んで、ヒケや寸法不足を防ぎます。

保圧は、ゲートが固まる(ゲートシール)まで続けます。この時間が保圧時間です。ゲートが固まったあとは、保圧をかけても金型の中には入りません。

▶ ゲートシール時間の設定方法|保圧時間の決め方

2.保圧の設定の目安と調整のしかた

  1. 低めから始める。仮条件では、速度で90〜95%充填できたあと、30MPa程度から始めます(成形条件の作り方と同じです)。
  2. ヒケとバリを見ながら上げ下げする。ヒケが出たら上げる、バリが出たら下げる。良品がとれる上限と下限を調べ、真ん中にします。
  3. 保圧時間を決める。製品重量が増えなくなる時間(ゲートシール時間)を調べて、少し余裕を持たせます。
  4. 必要なら多段にする。次の3章で説明します。

3.多段保圧とゲート残り

一般的に、保圧は2段階で設定します。肉厚製品やバリが発生しやすい金型では、3〜4段で設定します。

段 役割
1段目(高め) VP切り換えのあと、残りの約10%を押し込み、流動末端まで詰める
2段目(下げる) ゲート付近の詰めすぎを防ぐ。ゲートまわりのバリ・ゲート残り・残留応力・変形を抑える
3〜4段目 肉厚部のヒケ対策など。少しずつ下げながら、ゲートシールまで押さえる

ゲートの近くは、最後まで圧力がかかり続ける場所です。1段のまま高い保圧をかけ続けると、ゲートまわりが詰めすぎになり、ゲート残りやバリ、ゲート付近の割れ・変形の原因になります。2段目で圧力を下げると、流動末端は詰めたまま、ゲート付近の詰めすぎだけをやわらげられます。

4.保圧と成形不良|よくあるトラブルと対策

トラブル 保圧との関係 対策
ヒケ 充填量や収縮分の補充が足りない 保圧を上げる・保圧時間を延ばす
バリ 保圧が高く、PL・スライド・EJの合わせに樹脂が入る 保圧を下げる。2段目を下げる
ショート 流動末端まで押し込めていない 保圧を上げる。VP切り換え位置も確認
変形・離型不良 詰めすぎ(オーバーパック)で、金型に張りつく・ひずむ 保圧を下げる。多段にしてゲート付近を下げる

4-1.ヒケ

流動末端におけるヒケは、樹脂の充填量が足りていないことが原因です。肉厚部のヒケのうち、保圧条件に関係ある場合は、樹脂の収縮分を詰め込めていないことが原因です。保圧を上げ、樹脂の充填量を増やすことで改善します。

※肉厚部のヒケは、ゲート形状や、ゲートシール時間、冷却時間、冷却水の温度なども関係してきます。

4-2.バリ|充填の途中のバリは、保圧では直らない

保圧が高いと、PLやスライド、EJの合わせに、バリが張ることがあります。保圧を下げて、過充填をやわらげます。

ただし、充填の途中のバリは、保圧を変えても変化しません。これは、射出速度で充填している箇所のバリだからです。充填途中のバリは、その箇所を通るときの射出速度を下げることで改善します。

プラ太郎
バリが出たら、まず「保圧のバリか、速度のバリか」を見分けよう。ショートショットで充填の途中を見ると、どこで出ているかがわかるよ👍

4-3.流動末端とは?

金型内に充填された樹脂が最後に行き着く箇所を、流動末端と呼びます。流動末端は、ショートが発生する箇所です。また、充填の勢いが低い、保圧が低いと、流動末端で湯ジワやヒケが発生します。流動末端で様々な成形不良が発生しやすいため、よく確認することが大切です。

5.保圧は技能検定でも大事

保圧・VP切り換え・ゲートシールは、技能検定 射出成形作業の学科試験「成形加工法」の範囲です。実技試験でも、ショートショットで充填量を決めたあと、保圧で仕上げます。

まとめ

  • 保圧は、充填した樹脂を押し詰めておく圧力。90%を速度で充填し、VP切り換えで保圧に切り替える
  • 役割は逆流防止と収縮分の補充。ゲートシールまでかける
  • 低いとヒケ・ショート、高いとバリ・オーバーパック・変形
  • 2段が基本。2段目を下げて、ゲート付近の詰めすぎを防ぐ
  • 充填途中のバリは、保圧ではなく射出速度で直す

全力で応援しています。

成形条件の作り方

【保存版】射出成形の条件出し手順|成形条件の作り方と成形条件表の見方を特級技能士が解説

続きを見る

射出ユニットの成形条件

射出ユニットの成形条件は、加熱筒で樹脂を溶かして、金型に高速で充填する設定です。

  1. 加熱筒温度
  2. 計量完了位置
  3. 射出圧力(1次圧)
  4. 射出速度
  5. VP切り換え位置
  6. 保圧(2次圧)
  7. 保圧時間
  8. ゲートシール時間
  9. 冷却時間
  10. 計量(スクリュー回転)
  11. 背圧
  12. サックバック

型締めユニットの成形条件

型締めユニットの成形条件は、金型の開け閉め、EJの前後進する設定です。

  1. 型締力
  2. 低圧金型保護
  3. 型開閉
  4. エジェクター(エアーエジェクター)
  5. スライドコア
  6. ねじ抜き装置

\射出成形の仲間とつながろう/

現場の悩みや技能検定の情報を共有できる、LINEオープンチャットがあります。初心者からベテランまで参加中です。

▶ LINEオープンチャットの参加方法を見る

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
  • 最新フォト

プラ太郎

「射出成形業界を繋ぐ」プラファン運営者|特級技能士|若手に向けて射出成形スキルを熱血発信|俺たちの仕事 射出成形は超カッコいい|射出成形機をモチーフにしたプラモデルPLAIVE|

-成形条件

Copyright© Plastic Fan , 2026 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.