保圧時間とは
射出成形加工における保圧時間とは、充填後半の保圧をかける時間のことです。
保圧時間設定 | 特徴 |
短い | 十分に充填されず、ヒケやショートになります。 |
長い | 加充填になりバリやオーバーパックになります。ゲートシール後の保圧は製品部に影響しないので無駄になります。 |
保圧時間条件の設定ポイント
保圧時間の目安は、ゲートシール時間を元に設定していきます。
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ゲートシール時間とは?
製品の入り口ゲートが冷え固まるまでの時間です。
金型内のランナーから樹脂は流れて、ゲートを通過して製品に充填されます。
保圧は、充填した樹脂の逆流防止と、体積損失の補填が目的です。
つまり、ゲートが冷え固まるまで保圧は製品部に効きます。
逆に、ゲートが冷え固まった後は、いくら保圧をかけても製品部に効きません。
ゲートシール時間の求め方は、下記リンク先で解説しています。
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射出成形におけるゲートシール時間の設定方法 保圧時間の決め方
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保圧時間条件と成形不良の関係
保圧時間条件と成形不良の関係は下記の通りです。
①ヒケ、ショート
保圧をかける時間が短いことで、流動末端のヒケやショートがおこります。
□対策
ゲートシール時間を考慮し、保圧が十分に及ぶ時間を設定します。
②バリ
保圧力が高いと、バリになってしまいます。
□対策
保圧力を1段ですと、VP切り換え以降大きな圧力がかかり、バリが発生してしまいます。保圧力を多段制御することが有効です。保圧力1段目を下げ、バリ発生個所の圧力を弱めます。その後、保圧力2段目で圧力をかけることで改善します。
保圧力の多段制御の例
BEFORE
保圧力1段 60Mpa 保圧時間 2sec バリ発生 ✖
AFTER
保圧力1段 30Mpa 保圧時間 1sec
保圧力2段 60Mpa 保圧時間 1sec バリ良化 ◎
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