スライドコア
射出成形加工におけるスライドコアとは、金型の機構の一部です。アンダーカットの形状を作るのに使用されます。スライドコアは金型開閉動作に連動して可動、設定します。型開閉動作だけでは作れない形状を可能にします。
スライドコア設定 | 特徴 |
制御タイミング | 型開閉時に、適切な順番を設定すること |
制御圧力と速度 | コアが適切な速度で動くことが重要 |
スライドコアの様々な種類
スライドコアを可動する動力によってさまざまな種類があります。
①アンギュラピンによるスライドコア
型開閉動作に連動しアンギュラピンの指示に従って、スライドコアが可動します。
②油圧スライドコア
油圧の力でスライドコアを可動します。
③エアースライドコア
エアーの力でスライドコアを可動します。
スライドコア 参考動画の紹介
参考:Youtube Mould inspection and testing 社様
動画内のスライドコアの動力はエアーです。
スライドコア条件の設定ポイント
スライドコアの設定ポイントは下記の通りです。
- 確実にコアが前進限、後退限まで可動
- 適切な順番
- 適切な速度
スライドコアが、確実に前進限、後退限まで可動しないと、突き出しや型開閉時に、ギロチンしてしまいます。
スプリングを付けて物理的に強制するか、リミットスイッチを設置してスライドコアの前後進の安全確認をしましょう。
また、スライドコアの動作速度が重要です。安全に可動できる速度を設定しましょう。
スライドコア条件と成形不良の関係
スライドコア条件と成形不良の関係は下記の通りです。
①ギロチンや衝突
スライドコアが完全に前進または後退していない状態で、次工程に進んでしまった時、スライドコアと他の金型部品が干渉してしまう不良です。金型が破損してしまうので、修理費も高額な大事故です。
- 型開き工程において、エアースライドコアが後退限まで未達➡エジェクターピンがスライドコアに衝突
- 型締め工程にて、油圧スライドコアが前進限未達➡キャビプレートに衝突
□対策
スライドコアの前進限と後退限に完全に到達していることを機械的に感知できるように、リミットスイッチの設置が理想です。
リミットスイッチが反応しなければ、次工程に進めない安全装置です。
②油圧スライドコアの油漏れ
何万ショットも成形することで、油圧シリンダーや油圧ホースが劣化し、油漏れがおこります。高圧がかかる油圧回路の油漏れは、油の飛散がひどく、製品部に吹きかかってしまうことがあります。
□対策
特に油圧ホースの劣化は、定期に点検交換が必要です。
ホースの亀裂や、継手の劣化したものは事前に交換しましょう。
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