冷却時間とは
射出成形加工における冷却時間とは、樹脂を充填後、金型内で冷やし固める時間です。
冷却時間設定 | 特徴 |
短い | 固化が甘く収縮しやすい。取出し後のソリや変形が発生します。 |
長い | 冷えすぎて金型内で収縮した製品は、EJ時抜き抵抗が増して傷になりやすい。 また製品取出し後、製品寸法は収縮しにくい。 |
冷却時間条件の設定ポイント
射出⇛保圧の後は、金型内で製品を冷却します。
金型内に充填された樹脂は、金型内部を通る冷却水にて水冷されます。
樹脂は金型に接する面から冷えていきます。この金型に触れるところをスキン層と言います。
スキン層が薄い段階で取り出すと、樹脂は大きく収縮しヒケてしまいます。
スキン層をしっかりと冷え固めてから、取り出すことが重要です。
ポイント
冷却時間はどうやって決めるの??
成形品の設計段階で、目標の1サイクル時間は決まっています。その目標1サイクル時間を目指して冷却時間を設定していきます。
□冷却時間設定で確認すること□
- 冷却が十分か?(ヒケないか。収縮しすぎないか。)
- 計量が間に合うか?(冷却時間内に計量完了するか。)
- 目標サイクルに間に合っているか?
冷却時間と製品寸法の関係
冷却時間は、取り出した後の製品の寸法に大きく影響します。
冷却時間 短い
熱いまま製品を取り出すと、その後大きく収縮する
⇛寸法は小さくなる。
冷却時間 長い
冷まして製品を取り出すと、その後収縮は少ない
⇛寸法は小さくなりずらい。
冷却時間条件と成形不良の関係
冷却時間と成形不良の関係は下記の通りです。
①ヒケ、寸法下限NG
冷却時間が短いと冷却不足により、製品取出し後に大きくヒケます。寸法は小さくなります。
□対策
スキン層の冷却がかんりょうしてから取り出すようにしましょう。
②取出しミス
冷却時間不足時は、十分に固化していないことから、金型内に食いついて離型しない。
または、部分的に取られてしまう。
冷却時間が長すぎると、製品が金型に抱き着くので、EJ抵抗が大きくなり、エジェクト時、変形してしまうことがあります。
□対策
製品の抜けや、取出し動作を見ながら、適正な冷却時間を設定しましょう。
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