プラスチック成形 射出成形は、
- 樹脂を溶かして
- 金型に充填
- 冷却
- 取出し
してプラスチック製品を作成します。
この工程を担うのが、「射出成形機」ですね。
射出成形機の構造は、スクリュー式射出装置が一般的です。
1本のスクリューを用いて
- 樹脂ペレットの溶融
- 計量
- 充填
を、行います。
スクリューは、使用する樹脂によって異なりますが180~350℃程の過熱をされています。
そのため、樹脂の滞留、焦げ付き、炭化などによりスクリューの壁面にカスがこびりついていきます。
その焦げ付いた炭化物が溶融した樹脂と一緒に成形品に充填されてしまいます。
「練り込み異物」と呼ばれるものです。
構造上、スクリューの炭化物蓄積は避けられません。
毎日同じ成形品を作っていれば、練り込み異物も少なく抑えられますが、
そんな訳にはいきません。
1台の成形機で何種類もの成形品をうっていかなくてはいけません。
工程・納期を考えれば、毎回スクリュー分解清掃する時間もありません。
「スクリュー分解をせずに、こびりついた炭化物をとってくれるものが何かないかなぁ??」
という、発想から考えられたのが、パージ材です。
本日は、
【初心者向け】
- パージ材とは?
- 使うときのポイント
- アドバイス
を解説していきます。
目次
1.パージ材とは?
パージ材とは、
射出成形機のスクリューを清掃する目的で作られたペレットです。
【特徴】
- 洗浄力(こびり付きを取り除く力)
- 発泡性
- ガラス入りもある
- 抜けやすい(残ることもある)
- 高価
発泡性のある樹脂で、スクリュー壁面のこびりつきを除去しながら押し出されてきます。
パージ材には、対応する温度帯があります。
ガラス物質の入っている種類もあります。
【パージ材の紹介】
写真はメーカーHPから添付
写真はメーカーHPより添付
写真はメーカーHPより添付
2.パージ材を使用する時のポイント
パージ材は上手に使うことで、
段取り時間の短縮につながり生産性が大きく向上します。
今日は初心者向けの記事ですので、
そんな良い事ずくめのパージ材を使用する際に、
考慮しておかなくてはいけないポイントを紹介します。
(ⅰ)パージ材は高い
パージ材は高価です。
PPが150円/kg前後に対して、パージ材は500円/kg以上します。
段取り時間の短縮のために使用するのに、短縮された時間以上にパージ材を使用してしまったら本末転倒ですね。
各、パージ材には適正温度、成形機の大きさによって適正使用料がきまっていますので、それを基に、意識して使用しましょう。
(ⅱ)パージ材が残ってしまう
パージ材は、スクリューにこびり付いた炭化物を除去する洗浄性をもっています。
その反面、スクリューにパージ材が残ってしまうこともあります。
段取り換え後の製品を成形したら、パージ材が練り込まれていた。
なんてことの無い様に、
パージ材→次の材料に置き換える際もしっかりパージしましょう。
(ⅲ)スクリューを痛めてしまう
パージ材は、種類によってガラス物質を含んでいるため、スクリューを痛めてしまうことがあります。
そこまで過敏に意識は不要ですが、一応知識として持っていてください。
(ⅳ)スクリュー分解清掃には勝てない
パージ材は段取り時間の短縮が目的ですので、簡易的なスクリュー清掃方法と認識してください。
やはり、スクリュー分解清掃にはかないません。
パージ材を使用して段取り換えを行ったが、製品の練り込み異物がどうしても取れない場合は、スクリュー分解清掃を実施しましょう。
3.アドバイス
パージ材の特徴と使い際の注意事項を踏まえた上で、段取り換えのポイントを解説していきます。
(ⅰ)計画が大事
段取り換えをする際に、
- スクリュー分解清掃が必要なのか?
- パージ材で十分なのか?
- 色の薄いものから濃いものと生産の順を入れ替えれないか?
など、計画をよく作り込みましょう。
1回でも色変え、段取り換えは少ないほうが絶対に良いのですから、知恵を絞って計画をきっちり立てましょう。
(ⅱ)パージ材はどんどん使っていこう
先に紹介したパージ材以外にも、各社たくさんあります。
お試しで各社サンプルを送ってくれますので、取り寄せて使用してみましょう。
「この樹脂の色変えは、〇〇社のパージ材が効く。」ということはおおくあります。
(ⅲ)パージ材を抜くには安価な原料
パージ材の抜けが悪い場合、
次の樹脂を多くパージしなくてはなりません。
次の原料が高価なときは、一旦PPなどの安価な原料でパージしましょう。
安価な原料で多めにパージし、パージ材が抜けたところで次の原料を投入することで、原料ロス金額を抑えられます。
下の写真はパージ材後、PPでパージした様子です。↓
原料によっては、2,000えん/kg以上するものもありますからね。
4.まとめ
本日は、パージ材について解説しました。
パージ材は万能ではないけれど、段取り時間の短縮にとても効果的です。
色々なパージ材が販売されていますので、サンプルをお取り寄せして使用してみましょう。