こんな方におすすめ
- パージ材って効果あるの?
- パージ材使用時のポイントは?
- おすすめのパージ材は?
射出成形機の加熱筒は、プラスチック原料を高温に溶かします。
高温で圧縮混錬され、毎ショット高圧で射出を繰り返しているるため、スクリューフライト部、先端のスクリュー3点セット、ノズルの内壁に、炭化物や樹脂カスがこびりついていきます。
その焦げ付いた炭化物が溶融した樹脂と一緒に成形品に充填されてしまいます。これが、練り込み異物の原因です。構造上、スクリューの炭化物蓄積は避けられません。
1台の成形機で代わる代わる異なる成形品を製造すると、どうしてもスクリューに炭化物が蓄積していきます。工程・納期を考えると、毎回スクリュー分解清掃する時間はありません。
本日は、初心者向けに、パージ材の使い方と注意点を解説しています。
目次
1.パージ材とは?
パージ材とは、射出成形機のスクリューにこびりついた汚れを取り除く、樹脂換え、色換えの効率アップ目的で作られた原料です。
パージ材を使用する目的
- 練り込み異物の削減
加熱筒内の炭化物を除去 - 段取り時間の削減
樹脂換え、色換え時間を短縮
【パージ材の特徴】
- 高い洗浄力(こびり付きを取り除く力)
- 発泡性
- ガラス入りもある
- 抜けやすい(残ることもある)
- 対応する温度帯があります
- 高価
発泡性のある樹脂で、スクリュー壁面のこびりつきを除去しながら押し出されてきます。ガラス繊維の入っている種類もあります。
2.パージ材使用時の注意ポイント
今日は初心者向けの記事ですので、そんな良い事ずくめのパージ材を使用する際に、注意ポイントを紹介します。
①パージ材は高価です
パージ材は高価です。
PPが150円/kg前後に対して、パージ材は500円/kg以上します。
段取り時間の短縮のために使用するのに、短縮された時間以上にパージ材を使用したら本末転倒ですね。
各、パージ材には適正温度、成形機の大きさによって適正使用料がきまっていますので、使用量を意識して使用しましょう。
②パージ材が残ってしまう
パージ材は、スクリューにこびり付いた炭化物を除去する高い洗浄性をもっています。その反面、スクリューにパージ材が残ってしまうこともあります。
段取り換え後の製品を成形したら、パージ材が練り込まれていたなんてことの無い様に、パージ材→次の材料に置き換える際は、次の原料でしっかりパージしましょう。
③スクリューを痛めてしまう
パージ材は、種類によってガラス物質を含んでいるため、スクリューを痛めてしまうことがあります。そこまで過敏に意識は不要ですが、一応知識として持っていてください。
④スクリュー分解清掃には勝てない
パージ材は段取り時間の短縮が目的ですので、簡易的なスクリュー清掃方法と認識してください。やはり、スクリュー分解清掃にはかないません。
パージ材を使用したが、製品の練り込み異物がどうしても取れない場合は、スクリュー分解清掃を実施しましょう。
3.パージ材使用で考慮すべきこと
パージ材の特徴と注意事項を踏まえた上で、段取り換え時の考慮すべきのポイントを解説していきます。
①計画が大事
段取り換えをする際に、気を付けるべきことは下記の通りです。
ポイント
- スクリュー分解清掃が必要なのか?
- パージ材で十分なのか?
- 薄い色→濃い色に、生産順を入れ替えれないか?
②成形機の稼働率を意識しよう
射出成形工場は、成形機の稼働率がポイントです。
パージ材は高額ですが、段取り時間を削減できれば、成形機の稼働時間を増やすことができ、利益に繋がります。
いかに停止時間を削減できるかがポイントになります。
早く稼働できれば、パージ材の費用を補うことができます。
③色々なパージ材を試してみよう
各社からたくさんのパージ材が販売されています。お試しで各社サンプルを送ってくれますので、取り寄せて使用してみましょう。
「この樹脂の色換えは、〇〇社のパージ材が効く。」ということは良くあります。
相性の善し悪しが、パージ材使用量の最少化になります。
練り込み異物の削減、パージ材の残留も異なりますので、自社で使っている樹脂に合わせて最適なパージ材を選定しましょう。
④パージ材を抜くには安価な原料
パージ材を抜くには、次の樹脂をパージしなくてはなりません。
次の原料が高価なときは、PPやPEなど安価な原料で一旦置き換えて次の原料に進めましょう。
安価な原料で多めにパージし、パージ材が抜けたところで次の原料を投入することで、原料の廃棄ロスを抑えられます。
下の写真はパージ材後、PPでパージした様子です。
右奥:パージ材が多い
左中央:次第にPPに置き換わっている
手前:PPに置き換わった
4.おすすめパージ材の紹介
パージ剤をご紹介します。
掲載されている写真は、各社ウェブサイトから転用しています。
4.まとめ
本日は、パージ材について解説しました。パージ材は段取り時間の短縮、練り込み異物の削減にとても効果的です。
稼働率を最大化することで利益に直結します。
色々なパージ材が販売されていますので、サンプルをお取り寄せして使用してみましょう。
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