技能検定 射出成形の仕事

特級技能士が解説 射出成形パージの基本 効率の良いパージ方法

2019年5月17日

今回は、パージの基本をしっかり丁寧に解説していきます。

技能検定の実技試験でも、パージ工程はありますね。

 

技能検定 射出成形作業
等級別使用材料表

等級 X組 Y組
1級 PS ABS
2級 PS PC

基本的な原理原則、ルールをしっかり学んでいきましょう。

 

1.パージの考え方

加熱筒内の溶融樹脂を排出することを「パージする(パージング)」と言います。

目的によってパージ方法は異なります。

目的ごとに解説していきます。

(ⅰ)成形スタート時、チョコ停時のパージ方法

加熱筒内に高温のまま滞留している樹脂は、
時間経過とともに熱劣化、熱分解が起こります

熱劣化、熱分解した樹脂は、通常の流動より流れが良くなります。
イメージは、いつもよりトロトロサラサラに変化してしまう感じです。
そのまま充填してしまうと、いつもより流動が良いので、
オーバーパックし金型を壊してしまうことがあります。

分解する前に新しい樹脂に置き換えましょう。

 

□ 成形スタート時 パージポイント

粘度の低下、熱劣化した樹脂をパージングし、新しい樹脂と置き換える必要があります。

基本的には、加熱筒内分の樹脂をパージすれば、成形スタートするには十分です。

 

しかし、ノズル先端から出てくる樹脂の中に

前の樹脂の色が残っている時
⇛ パージ量が不足
そんな時は
もう少しパージするか、ひどい時はパージ材を使用しパージします。

練り込み異物(黒色や茶色の炭化物)がある時
⇛ スクリューにこびりついた炭化物が剥がれ出ている状態です。
そんな時は、
・パージ数を増やして量で排出する。
 ・パージ材(発砲性の洗浄材料)でパージする。
 ・加熱筒を分解清掃する     などの処置が必要です。

 

プラ太郎
段取り替えで停止した時間で、加熱筒内の樹脂はトロトロになってるよ。
そのまま計量⇛充填すると、オーバーパックし金型破損もあるからしっかりパージしようね👍

□ チョコ停の時 パージポイント

異常発生や、金型のメンテナンスで、チョコ停する場合がありますね。

パージしないでそのまま再開すると、オーバーパックやショートが発生する事があります。
後処理が大変ですし、金型の破損にも繋がります。

一旦可塑化装置を後退させて、パージをしましょう。

チョコ停スタートは、いきなり練り込み異物が出てくる事は少ないです。

パージ量目安は下記の通りです

  • 瞬間停止時は、1ショット分程度パージ量
  • 異常停止や金型メンテナンスにて10〜30分程停止した時は、5ショット〜加熱筒内樹脂を置き換え程度

ただし、成形機の大きさや、使用している樹脂の種類によって大きく異なります。

プラ太郎
チョコ停時のパージ量は、できる限り最少が基本だよ👍
パージ量は材料ロスだからね。

 

(ⅱ)樹脂替え時のパージ方法

射出成形機は、金型に樹脂を充填する加工業ですね。

1つの金型でも、仕様によって、樹脂違いや色違いのバージョンを成形できます。
また、金型を換えることで様々な成形品を成形できます。

加熱筒内は、スクリューが回転前後運動をします。
スクリューフライト部、先端のスクリューヘッド、逆止リングは、複雑な構造です。

 

樹脂替え時のトラブル例

  • 前の樹脂が残っていて異材
  • 色が残っている     など

しっかりと樹脂替えが出来ていないと成形した製品全てが不良になってしまいます

 

□ 温度帯の同じ樹脂替え時の パージポイント

温度帯の同じ樹脂替えは、簡単です。

下記の通り、POM ⇛ PPに置き換える時の解説していきましょう。

A.加熱筒に入っている材料 POM(180〜210℃)
B.置き換えしたい材料 P    P(160〜250℃)

 

パージ手順

① 加熱筒温度を190℃の状態で、POMがなくなるまでパージする。

② 加熱筒を190℃のままで、PPを投入しパージする。
・背圧を高めにかけて(スクリューが前進限で回転する状態を維持し)、
スクリュー全体のPOMを押し出していきます。
ノズル先端から出てくる樹脂の色やにおいで、PPに置き換わってきたと判断できます。
・次は、背圧を低くして、20〜50mm位まで計量して射出するパージに切り替えます。
スクリュー先端、残留樹脂を押し出します。複雑な先端の構造は、前の樹脂が残りやすい。
逆シリングを前後に動かすイメージで、10〜20回程パージします。

③ 加熱筒の温度をPPの成形温度に変更する。

プラ太郎
同じ温度帯の樹脂替えは簡単です。
しかし、濃い色⇛薄い色の樹脂替えは、ナチュラルよりしっかりパージしよう👍

 

□ 温度帯の違う樹脂替え時の パージ方法

温度帯の違う樹脂替えする時のパージはコツが要ります

下記の通り、PCからABSに置き換える時の解説していきます。

A.加熱筒に入っている樹脂 P   C(280〜320℃)
B.置き換えしたい樹脂 ABS(190〜250℃)

 

パージ手順

①加熱筒温度を300℃の状態で、PCをなくなるまでパージします。

②溶融温度の違いを補うため、温度設定の許容範囲をカバーできる材料PEを投入します。
通常、ポリエチレン(PE)、一般用ポリスチレン(GPPS)などが一般的です。
最初、背圧を高めにし、スクリュー前進限で回転を維持させ、スクリュー全体の樹脂をパージします。
 その後、背圧を低くし、計量値を30(20〜50)mm位に設定し計量と射出をくりかえし、スクリュー先端の樹脂をパージします。
 逆止リングを動かすことがポイントです。

③加熱筒内がPEに置き換わったら、加熱筒温度をABSの成形温度に変更します。

④ABSを投入し、加熱筒内をPEがなくなるまでパージする。

 

プラ太郎
樹脂替えの材料廃棄ロスは、できるだけ少なくしたいですね。
高価な材料は、3,000円 / kg以上します。
温度帯の違う樹脂替えは、安価なPEを使用する事で、パージ費用削減を意識しましょう。

 

2.参考動画

パージの基本は、こちらから↓↓↓

パージの基本■
最初、背圧を高めにし、スクリュー前進限で回転を維持させ、スクリュー全体の樹脂をパージします。
 その後、背圧を低くし、計量値を30(20〜50)mm位に設定し計量と射出をくりかえし、スクリュー先端の樹脂をパージします。
 逆止リングを動かすことがポイントです。

 

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