わかっているようでわかっていない
「低圧金型保護」の解説になります。
結論から先に伝えると
低圧金型保護とは、
型閉完了直前に弱く閉めて、
もしも成形品の一部が残っていたり、
金型に不具合がある時に、
それ以上、金型を閉めない安全設定です。
金型の製作費・修理費は、高額です。
また、金型破損による納期遅れは、
客先のラインしに直結し、
損害賠償が発生することがあります。
しっかりと理解して、
実務に役立ててください。
目次
1.低圧金型保護とは?
金型を閉じる際、
- 金型内に成形品やランナーが残っている。
- 取出し機の部品が脱落して混入してしまった。
- 金型が破損して入れ子が壊れてしまった。 など
そのまま高圧で型締めすると、
金型を破損してしまいます。
低圧金型保護とは、
金型が型締完了の直前に、
型締圧力を低圧にし、
残った成形品や、金型の不具合を
高圧で潰さない様に
低圧で閉める設定です。
2.低圧金型保護の原理
金型を閉める際に、
高圧型締めに至る直前に
低圧低速に落として、
同時にタイマーが作動します。
金型が完全に閉まりきらないうちに
タイムアウトした時、警報(アラーム)がなります。
【型締め工程】
- 型閉めスタート
- 完全に閉まる少し前から、低圧型締め
- キャビコアが合わさった位置で、高圧型締めが入る
上の工程3の、
キャビコアが合わさった位置まで金型が閉まらない=何か挟んでいる。
と判定し、警報(アラーム)がなります。
3.低圧金型保護の警報を説明
今回は、成形中に、製品残りが発生した
ということを想定して解説をします。
(ⅰ)金型が開いた状態
製品が落下不良で残っているとします。(下図🔴)
(ⅱ)型閉め→金型保護
- 型閉めスタート
- 完全に閉まる少し前で低速型締め
通常は、キャビコアが合わさる位置で高圧型締めされます。
ですが、製品残りがあるため、キャビコアが合わさる位置まで金型が閉まりません。
そして、設定時間中に金型が閉まらないため、警報(アラーム)がなります。
4.低圧金型保護の設定ポイント
①キャビコアの合わさる位置(高圧型締め位置)が肝心
まず、キャビコアの合わさる位置(高圧型締め位置)設定がまず第一です。
通常で何もはさんでいない状態の位置です。
- 金型吊り込み
- 型締力を入力
- 自動型厚調整
- 金型取り付け
- キャビコアの合わさる位置
(高圧型締め位置)を確認
【高圧型締め位置の設定方法】
自動型厚調整では、高圧型締め位置も自動設定されます。
自動設定された高圧型締め位置を手動で確認しましょう。
②低圧型締め圧力の設定は、できる限り低圧
- 金型の形状
- 金型の消耗度
- 型閉速度 など
を考慮して、高圧型締め位置まで到達できる最低の圧力に設定することがポイントです。
③低圧金型保護の設定タイミング
成形前と成形中で、金型の寸法は異なります。成形中は金型温度が上がり熱膨張するためです。成形前の低圧金型保護の設定では、成形中に金型保護警報が発生して連続成形できない事があります。そんな時は、低圧金型保護を再設定して下さい。