射出成形では、主材、粉砕材、マスターバッチを混合して成形します。
この3種類を混ぜる時
- 40倍
- 100:3
- 40% など
その混合比率の呼び方は様々です。
ここが紛らわしいポイントです。
こんな悩み?
- 今更聞けない混合比。
うろ覚えなんだよなぁ。 - 粉砕材リターンする時
MB配合比は変わるの? - ランナー比率が多い時
粉砕材余るよね?
射出成形工場における「材料費」の割合はとても高いです。
製品によっては、売上単価の半分以上が材料費というものもあります。
つまり、材料費をきちんと管理することが、売上のUP・downに直結します。
さて本日は、そんな材料管理のお話です。
粉砕材の混合比は、多くの方が理解できています。
基本がしっかり理解できていないと正解が導き出せません。
本日は詳しく解説して参ります。
目次
1.混合比(主+粉+MB)の求め方
混合比(主+粉+MB)計算は、複雑です。
適正な混合比は3ステップで求めます。
step
11ショット中の、
製品・ランナー比率を求める。
step
2ランナー比率から、
粉砕材の混合比を求める。
step
3主:粉:MBの
比率に展開する。
1ステップづつ解説していきましょう。
(0)確認しよう品質規格(粉砕材の混合比率)
まず、製品ごとに客先、自社で取り決めた品質規格を確認しましょう。
それぞれの製品には、「◯◯%まで粉砕混合可能」と粉砕材の混合可能割合が決まっています。
粉砕材は、一度熱が加わった樹脂をリサイクルするので、強度、結晶度が低下するからです。
前提として、粉砕材の混合割合に収まることとして話を進めていきます。
(ⅰ)1ショット中の製品・ランナー比率を求める。
まずは、1ショット中の製品・ランナー【比率】を求めます。
「製品A」を参考に考えてみましょう。重量は下記の通りです。
重量 | 製品重量(g) | ランナー重量(g) |
製品A | 50.0 | 30.0 |
1ショット重量は、80.0gです。
製品比率=50.0÷80.0×100=62.5%
ランナー比率=30.0÷80.0×100=37.5%
比率 | 製品比率(%) | ランナー比率(%) |
製品A | 62.5 | 37.5 |
(ⅱ)ランナー比率から、粉砕材の混合比を求める。
製品Aの1ショット中の比率がわかったところで、次のステップです。
最適な粉砕材の混合比を求めましょう。
ランナーリターンして生産するポイントは、
1ショット中のランナー比率以上で、
粉砕材を混合していくことです。
製品Aのランナー比率は、37.5%です。
理論では、この37.5%の比率で
粉砕材をリターンしていくことで、
ぴったり余すこと無く生産できます。
ただし、粉砕機、ローダー、混合機の動作タイミングやばらつきを加味すると、
ランナー比率+2~5%で粉砕リターンするのが最適です。
この場合で言えば、39.5~42.5%の割合でランナーリターンしていけば、
粉砕材があふれることなく生産できます。
わかりやすく解説するために40%で話を進めていきます。
リターンするには、
ランナー比率+2〜5%の
混合率が最適です。
(ⅲ)主+粉+MBの混合比に展開する。
カラーペレットや、ナチュラル材を使用した場合の
粉砕材の最適な混合比は
解説してきた(ⅰ)(ⅱ)にて求められます。
(ⅰ)1ショット中の、製品・ランナー重量比率を求める。
(ⅱ)粉砕材の最適な混合比を求める。
さらに、ここにマスターバッチ(MB)を混合しなくてはいけない時は
どう混合比率を考えれば良いでしょうか?
①粉砕材の混合比率
まず、粉砕材の混合比率の考え方は変わりません。
ランナー比率+2~5%で設定します。
製品Aの粉砕材配合比は、40%となります。
②MB(5%)混合するにはどうするか??
主材(ナチュラルカラー)に対して、MBは5%です。
主材(%) | MB(%) | |
製品A | 95 | 5 |
この条件に粉砕材をリターンし混合していきます。
ここでのポイントは、
「粉砕材はすでに着色済みである。」という事です。
ですので、粉砕材に対しては、MBを混ぜる必要はありません。
①で求めた粉砕材の混合比率(40%)を
そのままリターンしていきます。
主材はMB5%を混ぜなければいけません。
全体を100%と考えた時、
粉砕材を引いた残り60%に、MB5%を混合していきます。
主材=(100-40)×0.95=57%
MB=(100-40)×0.05=3%
つまり、製品Aを、粉砕材リターンさせながら、
主材に5%のMBを混合させるには主材:粉砕材:MBの混合比率はこちらになります。
主材(%) | MB(%) | 粉砕材(%) | |
製品A | 57 | 3 | 40 |
粉砕材の配合比率は、製品によっては、
仕様書にて指定されていることがあります。
例)【製品B 粉砕の配合比 30%】
ランナー比率以上に混合できないこともあります。
そんな製品は粉砕材が、余ります。
しかし、その粉砕材の余りを見越して
製品の加工費が見積もりされています。
まずは、製品仕様書、客先との取り決めを良く確認して下さい。
2.配合比率の呼び方
先述したとおり
配合比の呼び方は様々です。
- 〇〇倍
- 100:3
- 40%
基本的な考え方は一緒です。
小学校の算数でならった
【25:X=○:□】
の式に当てはめていきます。
詳しく1つずつ解説していきます。
ⅰ. 〇〇 倍
マスターバッチ40倍で混合する。
主材25kgに対して、マスターバッチ40倍とは、
25:X=40:1 で計算します。
主材25kgを40とした時、マスターバッチは1です。
25:X=40:1
40X=25
X=0.625kg
主材25kgに対して、マスターバッチ40倍で混合するには、
0.625kgのマスターバッチが必要です。
ⅱ. 100:○○
マスターバッチを、100:3で、混合する。
主材25kgに対して、マスターバッチを100:3で混合するとは、
25:X=100:3で計算します。
25kgを100とした時、マスターバッチは3です。
25:X=100:3
100X=75
X=0.75kg
主材25kgに対して、マスターバッチを100:3で混合するには、
0.75kgのマスターバッチが必要です。
ⅲ. 〇〇 %
30%のマスターバッチを混合するというケースはないと思います。
こちらは、粉砕材の混合比率で良く使わせる表現です。
主材25kgに、粉砕材を30%混ぜるには、
25:X=70:30
(主材25kgを70とすると、粉砕剤は30です。)
25:X=70:30
70X=750
X=10.7kg
主材25kgに、粉砕材を40%で混合するには
10.7kgの粉砕材が必要です。
2.まとめ
混合比(主:粉:MB)の求め方
- 1ショット中の、製品・ランナー比率を求める。
- ランナー比率から、粉砕材の混合比を求める。
- 主:粉:MBの比率に展開する。
色々な混合比率の求め方
- 〇〇倍
- 100:○
- ○○%