1級 第5分類 「材料」 試験科目及びその範囲の細目
3科目が対象となります。
- 成形材料の種類、性質及び用途
- インサートの取扱い及び保管の方法
- 接着剤の種類及び用途
1科目ごとに、<細目>、例題、解説して参りましょう。
この科目は範囲が広いですが、1級でも「一般的な知識」を問われるので、広く浅くを基本に勉強しましょう。
1.成形材料の種類、性質及び用途
1 次に掲げる成形材料の特徴及び用途について一般的な知識を有すること。
(1) ポリスチレン (2) AS樹脂 (3) ABS樹脂
(4) ポリメタクリル酸メチル (5) ポリエチレン
(6) ポリプロピレン (7) ポリ塩化ビニル
(8) ポリアミド (9) ポリアセタール
(10)ポリカーボネート (11)変性PPE
(12)ポリブチレンテレフタレート
(13)ポリエチレンテレフタレート
(14)ポリフェニレンサルファイド
(15)高機能樹脂 (16)熱可塑性エラストマー
(17)難燃化樹脂 (18)セルロース系樹脂2 成形材料に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有す
ること。(1) 次に掲げる配合剤の種類及び用途
イ 充てん材及び補強材 ロ 滑 剤
ハ 可塑剤 ニ 安定剤 ホ 酸化防止剤
ヘ 帯電防止剤 ト 紫外線吸収剤 チ 難燃剤
(2) 次に掲げる成形性に関する用語の意味
イ メルトフローレート(MFR値)
ロ 分子量及び分子量分布 ハ 可塑性
ニ 配向性 ホ 結晶性
ヘ 残留応力及びストレスクラッキング
ト 成形収縮 チ 離型剤
(3) 物性について次の事項
イ 密 度 ロ 引張り強さ ハ 弾性率
ニ 比強度 ホ 硬 さ ヘ 耐衝撃性
ト クリープ チ 透明性 リ 耐熱性及び耐寒性
ヌ 耐燃性 ル 自消性
(4) 重合、縮合及びポリブレンド3 成形材料(モールダープログラムを含む。)のUL規格につい
て概略の知識を有すること。
例1)塩化ビニル樹脂に用いられる可塑剤は、製品の硬さを増加させるためのものである。
↑「誤」
記述は反対です。塩ビを軟らかくしなやかにするため、可塑剤が添加剤として使われます。
例2)次の記述中の( )内に入る語句として、適切なものはどれか。
弾性率とは、弾性限界内において材料が受けた引張り、曲げ、圧縮などの応力を、( )で除した値で、弾性係数ともいう。
イ 荷重
ロ ひずみ
ハ 加速度
ニ 比強度
↑「ロ」
荷重に対して変形しにくさを表す性質で,低負荷時の応力とひずみの比に相当します。
成形品の腰の強さ,剛性を相対的に比較するときの目安となります。
例3)PA6(非強化)の特性に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
イ 結晶化度が高く、機械的強度が強い。
ロ 摩擦及び摩耗性が良いので、歯車等に使用される。
ハ 荷重たわみ温度が高く、160℃前後である。
ニ 吸水率が高く、1%以上である。
↑「ハ」
荷重たわみ温度は70℃ほどです。
例4)成形材料に誘導性を与えるには、カーボンブラック、金属繊維、炭素繊維などを混合するとよい。
↑「正」
例5)次の文中の( )内に入る語句として、適切なものはどれか。
成形材料の特性として、射出成形条件に関して最も必要なものは、( )である。
イ 荷重たわみ温度
ロ 熱膨張係数
ハ MFR
ニ 熱伝導率
↑「ハ」
MFRは、溶解状態にある樹脂の流動性を示す尺度の一つです。
荷重たわみ温度は、荷重に対しての変形しやすさ。
熱膨張係数は熱膨張率とも呼ばれ、温度上昇によって物体の長さ・体積が膨張(熱膨張)する割合を、温度当たりで示したもの。
熱伝導率は、熱の伝わりやすさ。
例6)熱可塑性プラスチックは、平均分子量が高くなると流動性がよくなり、強度が低くなる。
↑「誤」
分子量が高くなると流動性は悪くなります。強度は増します。
例7)成形材料の成形収縮率に案する記述として、誤まっているものはどれか。
イ ABS樹脂は、結晶性で成形収縮率が大きい。
ロ PAは、結晶性で成形収縮率が大きい。
ハ PCは、非晶性で成形収縮率が小さい。
ニ PSは、非晶性で成形収縮率が小さい。
↑「イ」
ABS樹脂は、非晶性です。
例8)プラスチックの強度は、使用環境温度によって大きくは影響されない。
↑「誤」
プラスチック強度は、種類、使用環境温度に左右されます。
例9)成形材料に関する記述として、誤っているものはどれか。
イ ポリアセタールは、ホモポリマーとコポリマーがある。
ロ PBT樹脂は、ブロー成形によって透明容器をつくる。
ハ ナイロン6は、ガラス繊維の補強で荷重たわみ温度が大幅に向上する。
ニ ポリカーボネートの低温脆化温度は、-100℃以下である。
↑「ロ」
記述は「PET」に関してである。
2.インサートの取扱い及び保管の方法
インサートに関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有すること。
(1) 形状及び寸法
(2) 材 質
(3) 保管の方法
(4) 取扱い及び埋込みの方法
例1)アルミニウムや黄銅(真鍮)は、金属の中で比較的熱膨張係数が大きいので、インサート金具に適した材料である。
↑「正」
アルミや黄銅(真鍮)は、プラスチックの熱膨張係数と近く、クラックの発生が少なくなります。
例2)金属インサートの抜け止め及び回り止めには、アヤメローレット加工をするとよい。
↑「正」
アヤ目ローレット加工とは、2方向をクロスさせるローレット加工です。
ちなみに平目ローレット加工は、1方向です。
例3)インサート金具にシャープエッジがあると、クラックが発生しやすいのは、応力集中のためである。
↑「正」
シャープエッジとは、鋭く尖った部分です。充填時、シャープエッジの断面で急激な変化が起こり、応力集中します。
3.接着剤の種類及び用途
接着剤の種類及び用途ならびにその取扱いについて概略の知識を有すること。
例1)プラスチックの溶剤接着では、環境や安全性に注意する必要はない。
↑「誤」
例2)PMMA成形品の接着にドープセメントを使用した場合は、溶剤だけで接着した場合に比べて、肉やせが少ない。
↑「正」
ドープセメント法とは、化学反応させ溶かして接着させる方法です。
例3)衝撃強度を必要とするプラスチック成形品には、ゴム系接着剤よりもアクリル系接着剤を用いるとよい。
↑「誤」
例4)結晶性プラスチックどうしの接着には、溶剤接着法が適している。
↑「誤」
結晶性プラスチックは一般的に二次加工性が悪いです。接着に関しても、耐薬品性に優れており、有機溶剤に侵されないため、溶剤接着はできません。
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