日本におけるプラスチックの産業廃棄物の状況は?
プラスチックの産廃の現状を当サイトではご紹介させていただきます。
他にも、産廃扱いになるプラスチックにはどんな種類のものがあるのかなども解説していきます。
目次
1.産業廃棄物ってなに?
産業廃棄物=産廃、として略されていますが、そもそも産業廃棄物とはどういうものなのかなど、廃棄物について解説していこうと思います。
2.廃棄物は2種類に分類される
産業廃棄物の他にも「一般廃棄物」という種別があります。まずは、この2種類の廃棄物について解説していきましょう。
①産業廃棄物について
産業廃棄物とは、事業の活動を行う中から出る廃棄物のうち、「廃棄物処理法で規定された20種類の廃棄物」のことを指します。産業廃棄物になるものの一部を例として以下にまとめましたので参照下さい。
- 燃え殻・焼却炉の残灰
- 汚泥・泥状のもの
- 動植物性油・食料油・洗浄油
- 廃硫酸・廃塩酸・ホルマリン
- 廃ソーダ液・金属せっけん液
- 発泡スチロール・梱包材・廃ビニール など
ちなみに、廃棄物処理法とは、生活環境保全を目的とし、廃棄物の排出抑制や処理の適正化を行う為に制定された法です。
この法は、昭和45年に制定されています。
②一般廃棄物について
一般廃棄物とは、一般家庭で出た廃棄物や事業活動で出た廃棄物のうち、産業廃棄物にはならない廃棄物のことを指します。
例えば、事務所や飲食店などから排出された紙類のごみや生ごみなどは産業廃棄物にはならないので一般廃棄物に分類されます。
他には、会社内で壊れた機器類は産業廃棄物として、一般家庭から出た場合は一般廃棄物になると覚えておくと良いでしょう。
3.廃プラスチック類として分類されるものは?
それでは、本題でもあります廃プラスチックについて触れていきます。
まず、廃プラスチック類には、「合成繊維くず・合成ゴムくず・合成樹脂くず・固形、液状すべての合成高分子系化合物」が対象として挙げられます。
廃プラスチック類とは
- 合成繊維くず
- 合成ゴムくず
- 合成樹脂くず
- 固形、液体すべての合成高分子系化合物
もう少し具体的な製品例を挙げるとすれば、ビニール袋や発泡スチロール、包装類やフィルム類などの材料にプラスチックが使われている製品は基本的に廃プラスチックに分類されるとイメージすると分かり易いかと思います。
また、この廃プラスチックにも「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類されるものがあります。産業・一般、いずれも他の廃棄物同様の考え方を当てはめることができます。
「ペットボトルやビニール袋、食器用トレイなどのプラスチック製品」のごみが一般家庭からでればそれらは一般廃棄物、「企業・事業などで使われたプラスチック製品類のごみ」は産業廃棄物に分類されます。
廃プラの分類
一般家庭からでたプラゴミ(ペットボトルやビニル袋、食品トレイなどのごみ)
企業からでたプラゴミ(企業、事業などで使用されたプラスチック製品類のごみ)
4.廃プラスチック類の廃棄量はどれくらい?
日本の廃プラスチック類の排出量は6.836千トンで、年々増加傾向にあるようです。
こちらの数字は環境省から発表されています、「産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について」から抜粋させていただいた廃棄物の種類別排出量の統計結果での数字になります。詳しい内容については以下のリンク先からご確認いただけます。
https://www.env.go.jp/press/106338.html
5.廃プラスチック類が起こす問題
元々、日本では廃プラスチック類の処理をするために、海外へ輸出して処理をするという方法に頼ってきました。
特に輸出を大部分を占めているのが中国です。
ただし、残念ながら2017年に中国は「廃プラスチックの輸入を禁止」することになります。中国へは廃プラスチックを輸出できなくなり、その後は台湾を中心とした東南アジアに輸出をしていくことになります。
しかし、中国同様に他の国々でも徐々に輸入規制などが導入されてしまい、輸出による処理ができなくなり国内で処理をしていくことになります。
こうした背景がもとで、廃プラスチック類の排出量が年々増えていっていることもあり、環境問題や海洋汚染問題など、廃プラスチック類は様々な悪影響を及ぼす原因として問題視されています。
他にも、マイクロプラスチックを発生させる原因になるのも廃プラスチック類であるということで問題になっています。
プラスチックごみの総排出量に対し、使い捨てのプラスチック容器などの類のごみが約40%も占めています。
これを私たち1人1人が年間で出す量に換算すると約32㎏もあるそうです。
この数値は世界でも2番目に多いという数値にもなるようです。
それほど日本における廃プラスチック類には大きな問題を沢山抱えているのだということが伺えます。
6.廃プラスチックのリサイクル方法
なにかと問題を抱える廃プラスチックですが、少しでも有効に活用させられるように、日本では3種のリサイクル方法で廃プラスチックを有効活用しています。
そんな、廃プラスチックがどのようなリサイクルをされているのかについて解説していきます。
①マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルでは、「廃プラスチックを原料にして他のプラスチック材料や衣料品」などを作って有効活用しています。
廃プラスチック類全体のおよそ20%程度がマテリアルリサイクルで処理されています。
②ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルでは、「廃プラスチックを科学的処理(科学的分解・原料に転換)」を行うリサイクル方法の1つです。主に「還元剤や石油、ガス化処理を行い水素やメタノールといった基礎科学品」の制作に活用されています。
ケミカルリサイクルは廃プラスチック類処理全体の数パーセントほどしか使われていないのが現状でうs。
③サーマルリサイクル
サーマルリサイクルでは、廃プラスチック類を「燃焼・焼却処理を行い、熱源にする」ことであらゆる燃料に転換して活用する方法です。主に、「発電のエネルギー」「介護施設やプール併設施設などの温水」「暖房機能」などで活用されています。
サーマルリサイクルは、日本のリサイクル方法の中で最も処理利用が多く、その利用率は全体の半数以上を占めています。
燃やすだけで資源が作れたり、多方面においてコストが削減できるなど、その利便性の高さから余計に利用の割合が高いのだと言えるでしょう。
しかしながら、その反面では、焼却や燃焼による処理のせいで「ダイオキシンなどの有害物質が少なからず出てしまう」という問題点もあります。
前述しておりました、廃プラスチックを海外へ輸出して処理することができなくなってしまったことで、日本国内で行う廃プラスチックの処理やリサイクル方法に対する問題は尽きることがないというのが現状です