皆さんはサーキュラーエコノミーというものをご存知でしょうか?
和訳すると「循環経済」とも呼ばれます。
今回は、そんなサーキュラーエコノミーについて、その意味やどのような形で経済が循環されているのかなどを解説していきます。
目次
1.サーキュラーエコノミーとは何?
サーキュラーエコノミーとは、これまで不要なもの・ごみとして廃棄されてきた製品や材料を「資源にする」と考えて、リサイクルや再利用を活用し「資源を循環させる」経済システムのことを指します。
人口が増えて経済も成長していく中で、沢山のものが生産されそれらが大量に消費されていくことで、処理しきれなくなった大量の廃棄物のせいで、自然が汚染されたり動物や私たち人間にも被害を及ぼしています。
こうした問題を解決していく為にも、循環型の経済システムは非常に重要と言われています。
サーキュラーエコノミーとは
資源を循環させる経済システム
2.サーキュラーエコノミーの仕組み
資源を循環させる経済システムといっても、実際にはどのような仕組み・流れで循環されていっているのかを解説していきます。
サーキュラーエコノミーのとしての循環イメージは、『資源の抽出→製造→消費→リサイクルや再利用→製造』というような流れで資源を循環していきます。常に資源を循環させることにより、可能な限り廃棄物を出さないような形にもなっています。
サーキュラーエコノミーの循環イメージ
資源の抽出→製造→消費→リサイクルや再利用→製造
サークル:円の循環イメージ
ちなみに、従来の経済システムをリニアエコノミーと言い、このシステムでは「資源の抽出→製造→消費→廃棄」というような流れです。
サーキュラーエコノミーは循環型経済ですが、リニアエコノミーは「直線型経済」と言われています。簡単に言えば、サーキュラーエコノミーが円状に流れていくことに対し、リニアエコノミーは直線型経済と言います。この一方的な直線の流れによって大量の廃棄物が生み出されているという訳なのです。
これまでのリアルエコノミーのイメージ 資源の抽出→製造→消費→廃棄 直線型経済は、地球にやさしくない。
3.サーキュラーエコノミーの三原則
また、サーキュラーエコノミーには、国際的サーキュラーエコノミー推進団体のエレン・マッカーサー財団より、「サーキュラーエコノミー3原則」という以下の原則が示されております。
サーキュラーエコノミーの3原則
- 廃棄物と汚染を生み出さないデザイン・設計を行う
- 製品と原料を使い続ける
- 自然システムを再生する
こうした原則の基、廃棄を抑えて資源を循環させていく仕組みが成り立っているのです。
4.サーキュラーエコノミーと同等の循環型社会作り「3R」との違いは?
3Rとは、「リデュース(Reduce)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle)」の頭文字をとった総称です。
3Rとは
- リデュースは「ごみの発生を抑制した製品作り」
- リユースは「同じ物を繰り返し利用する」
- リサイクルは「廃棄物を資源として再活用する」
という意味があります。一見すると、サーキュラーエコノミーと同じように資源を循環しているものと思えます。では、一体どのような点がサーキュラーエコノミーと違うのでしょうか。
①3Rの考え方
それは、3Rは廃棄物を可能な限り出さないようにする。しかし、少なからず廃棄物は出てしまうということが前提として捉えられています。
②サーキュラーエコノミーの考え方
対して、サーキュラーエコノミーは廃棄物を出さない・汚染の原因を作らないという理念が軸になっているので、製品を作る段階で再利用やリサイクルがしやすいデザイン・設計をしたり、製品のメンテナンスによる製品寿命を延ばすなどをして利用効率を向上させます。
サーキュラーエコノミーは、3Rの上位互換的な存在・取り組みである。
5.サーキュラーエコノミーのメリット・デメリットは?
聞く・見るだけならサーキュラーエコノミーには多くのメリットがあるように思えます。しかし、デメリットがあるのも事実です。以下では、そんなサーキュラーエコノミーのメリット・デメリットを解説していきましょう。
①サーキュラーエコノミーのメリット
サーキュラーエコノミーのメリット
- コストの削減
製品作りの際、現状あるものを有効活用することでコスト削減に繋げられます。 - 脱炭素
廃棄物を出さないことが目的・目標とされているため、廃棄物の燃焼によって発生する有害ガスや温室効果があるガスの発生を減少させることができる可能性が高いです。 - 資源の節約
再利用・リサイクルをすることで、新しい資源の消費を抑制し、もとの資源を節約することができます。
②サーキュラーエコノミーのデメリット
サーキュラーエコノミーのデメリット
- 耐久性・機能性の低下
様々な製品の耐久性や機能性を高めるとなると、リサイクルにかかるコストなどが上がってしまい、サーキュラーエコノミーの理念に基づいて製品のデザインや制作をしていくとなると、製品そのものの耐久性や機能性が落ちてしまう可能性があります。 - 質の低下
上記の耐久性・機能性と同様に、製品そのものの質が落ちてしまう可能性があります。サーキュラーエコノミーは、資源・製品の循環性を評価する際、量や割合といったものは指針にしていても、質までは考慮されておりません。
6.サーキュラーエコノミーの取り組みについて
近年、サーキュラーエコノミーの取り組みに対しては世界中が認知し、意欲的に取り組まれております。
特に、世界の20カ国という大規模でリサイクル事業を展開しているアメリカのテラサイクル社が始めた「Loopプロジェクト」が注目されています。
このプロジェクトのおかげでプラスチックのごみを大幅に削減できているという実績もあります。
なお、このプロジェクトには2021年より日本も始動しており、「味の素・江崎グリコ・イオン・資生堂・キリンビール・アース製薬」などの大手企業も参画しています。
また、ヨーロッパでは、オランダのフェアフォン社から、2013年に壊れてもパーツの交換や買い換えだけで使用ができる、修理が簡単なスマートフォンとして「エシカル(倫理的)なモジュール式スマートフォン」を販売されています。ちなみに、オランダは循環経済先進国として注目を集めている国です。
その他、NIKEやadidasなどの世界的大手アパレル・スポーツメーカーも、不要不良のスポーツ用品などを回収して寄付や修理、リサイクルをする取り組みを行っています。
このように、世界から見ると日本のサーキュラーエコノミーへの取り組みはまだまだ最近始まったばかりですが、大手企業の取り組みなどから少しずつ循環型経済の活動が広まっています。
もちろん、国や企業だけの取り組みではなく、私たち国民一人一人が廃棄物の流れ、ごみの捨て方などの意識を変え、資源を循環させるためにできることをしていくことがとても大切なことです。
是非、大切な資源作りの一歩を踏み出しましょう。