世界的にも問題になっているプラスチック製品のリサイクル問題について。
私たちが住む日本でのプラスチックリサイクルの現状や、プラスチックのリサイクル問題で取り組んでいることなどをご紹介していきます。
目次
1.プラスチックごみの廃棄量
私たちが住むこの日本、プラスチックごみの廃棄量はなんと世界で2〜3位という極めて高い廃棄量数値を毎年出しています。それだけ多くのプラスチックごみが捨てられているということです。
もちろん、こうしたプラスチックごみに対しては、日本だけでなく全世界でも問題視されており、様々な活動や法改正のもと解消・改善が常に行われています。
2.日本のプラスチックリサイクルの現状
まずは日本のプラスチックリサイクルの現状をみていきましょう。
日本では、2019年時点で廃プラスチックの有効利用率は85%を超えています。また、リサイクルには3つの方法があり、「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3種類があります。
各方法を簡単に説明しますと、
リサイクルの3種類の方法
廃プラスチックを活用して新しい製品を作る
既に使用済みとなっている廃プラスチックを科学の力で組織変換や分解してリサイクルする
廃プラスチックを燃やしてそこから発生した熱エネルギーを再利用する
上記のような方法でリサイクルが行われています。
また、全体のリサイクル率は2012年以降、80%以上の数値を安定して出していることから、世界的に見ても日本はリサイクル率が高いとされています。
しかし、このリサイクル率のうち、サーマルリサイクル率が全体の約60%を占めており、欧米ではこのサーマルリサイクルはリサイクルに対しての計算方法が違い、リサイクルには含まない、また、リサイクルとしては認められないとされています。
これは、海外にサーマルリサイクルという言葉そのものがなく、基本的には「エネルギー回収・熱回収」と呼ばれていることが原因なのと、リサイクル=新しいモノ作りに活用される、という認識だからです。
確かに、サーマルリサイクルは燃やした熱エネルギーということで、「焼却による処理」が前提とされていますし、焼却することで発生する二酸化炭素による温暖化問題も注視されているのでしょう。
そして、サーマルリサイクルを除いてしまうと、全体のリサイクル率は20%にも満たないという状況になってしまうのです。
ただし、これらを改善するために、日本では2022年に「プラスチック資源循環促進法」という法率が施行されました。
この法律では、プラスチックを規制するのではなく、製品の設計や製造、その他販売や回収、リサイクルという全体の流れの中で「事業者・自治体・消費者」が連携をして、地球に優しいサーキュラーエコノミー(循環型経済)の構築を進めるという目的があります。
3.プラスチックごみの問題に対する現在の取り組み
日本では、海洋汚染問題や環境汚染問題に対して次の様な取り組みを行っています。
ポイント
①プラスチック資源循環戦略について
この戦略では、「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」と、「再生可能資源への代替(Renewble)」というものを基本原則とし、プラスチックの資源循環を推進するための戦略が掲げられています。
3Rの具体例としては、「リデュース…レジ袋などの使い捨てごみを減らしたり食品ロスを減らすこと」、「リユース…使わなくなってしまったものでも、修理すれば使える・リメイクすれば使える等、モノを再利用すること」、「リサイクル…廃棄物を再生利用すること」です。
また、先述でも触れています、「プラスチック資源循環促進法」によってより強固な資源循環を目指しております。
②海洋プラスチックごみ対策アクションプランについて
その名の通りではありますが、「海洋に流れるごみによる汚染を防ぐ、海洋に住む生態系の保護」に対する対策プランです。プラスチックの有効利用、リサイクルを徹底することを前提として取り組まれる対策ですが、ごみを出さないだけでなく、既に流出されてしまったごみの回収なども取り組みの1つになっています。
海に住む魚の総重量をプラゴミが超えると予想されています。
【正解は“魚”です】
海で泳ぐ魚より、海の中にあるプラスチックごみの方が多いなんて、ゾッとしますよね。
7/1にはレジ袋も有料になります。全体に比べれば微々たるものかもしれませんが、1人1人の行動の積み重ねが、これからの世界のごみ問題を変えていけるはずです。https://t.co/gGXORGgM06 pic.twitter.com/LSd1SHF2lM— 環境省 (@Kankyo_Jpn) June 4, 2020
より具体的な対策・取り組みとして
プラゴミ対策のアクションプラン
以上のような取り組みが行われております。
4.世界で行われているプラスチックごみの対策や取り組み
世界では、既に脱プラスチックとして様々な取り組みが行われています。そんな、世界が行っているプラスチックごみに対する取り組みをいくつかご紹介します。
アメリカ
アメリカでは、国家リサイクル戦略というものが2021年に発表されました。リサイクルが可能な商品・製品を増やしていき、リサイクルによる環境負荷を軽減するという取り組みです。また、既に使い捨てプラスチックストローの廃止やプラスチックごみをクリーンエネルギーに変換する技術の開発などを積極的に行っています。
ヨーロッパ諸国
環境問題に対する意識は世界的にみても非常に高い国が多く、対策や問題解決の為の法案などあらゆる活動が行われています。特に、プラスチック製品の流通を2021年までに禁止する法や、代替できるストロー・皿・コップ・発泡スチロールなどが使われる製食品容器が規制対象になるなど、徹底された取り組みがされています。
中国
中国は、世界で最もプラスチックを消費している国です。そうした背景もあり、プラスチックのごみに対する対策は年々強化されていっています。主に、「プラスチック汚染改善行動計画」というものを実施しており、プラスチックごみの削減を目的とし、生産・消費・流通といった各プロセスにおけるプラスチック製品の管理を徹底強化する取り組みが行われています。
インド
プラスチック廃棄物管理規則が制定されており、規制や罰則を設けて徹底した環境汚染対策を行っています。これは、2016年に制定されたもので、明確な対策・取り組みとしては他国と比べても非常に早い段階で行っていたと言えます。他にも、プラスチック製の袋やストロー、ペットボトルなどといった使い捨てプラスチック製品を禁止するという厳しい規則も設けられています。