こんな方におすすめ
- プラスチック製品のリサイクル率は一体どれくらいなのか?
- 日本と世界でのリサイクル率の違いを知りたい
- プラスチック製品のリサイクル状況は?
年々深刻化しているプラスチックのリサイクル問題。そんなリサイクルの問題について、問題があるとは聞いたとこはあるけれど、詳しいことまでは知らないという人も多いのではないでしょうか。

目次
1.プラスチックのリサイクルによって引き起こされる問題とは
リサイクル問題と言っても、実際にどのようなことが問題視されているのでしょうか?
以下では、長年問題視・課題とされているプラスチックのリサイクル問題を解説いたします。
①海洋汚染問題
ゴミのポイ捨て
まずはなんといってもこちらの問題でしょう。海洋汚染に関する問題は日本だけではなく世界的にも問題視されている事案です。
では、どのようなことが原因で海洋が汚染され、どのようなことが問題になるのでしょう?
それは、ゴミの不法投棄やポイ捨てが原因のほとんどとして考えられています。ポイ捨てなどの中でも多いプラスチック製品の例としては、ペットボトルのポイ捨てが代表的でしょう。
プラスチック製品に含まれる化学物質や、容器の中身等を海洋生物が取り込むことで死んでしまったり、漁船の船行や漁全体に悪影響が生じます。他にも、海が汚染されることで、海洋生物の産卵する場所もなくなっていき、海洋生物そのものが減少してしまう原因になります。
漁師さんへの影響も当然のことですが、海洋生物とは私達が普段から食べている魚介類にもなるので、海洋が汚染されるということはこうした魚介類が獲れなくなり、深刻化が進めば食べれなくなってしまう恐れがあるなど、私たちの生活にも悪影響を及ぼすと言えます。
簡単な流れ
- ゴミのポイ捨て
- 海洋汚染や漁業のトラブル
- 海洋生物が汚染
- 人体に悪影響
②二酸化炭素による環境汚染
多くの人が認知しているであろう問題が、二酸化炭素による大気汚染です。日本ではプラスチックのリサイクル率で最も多いとされているのが焼却処理なのですが、この焼却処理を行うことによって二酸化炭素が排出され、地球温暖化の促進に繋がってしまうのです。
過去には、二酸化炭素だけでなくダイオキシンなどの有害物質も問題視されていました。ちなみに、この問題については大気汚染防止法・廃棄物処理法の改正により解消されています。
2.日本のプラスチック製品のリサイクル率は?
まず、リサイクル率をご紹介する前に、改めてリサイクルについて解説いたします。
リサイクルとは、私たち人間が普段ゴミとして出しているプラスチック製品などを資源とし、「再生利用」「再資源化」「資源再生」「再生資源化」をするということを言います。
簡単に言えば、ゴミなどの不要な物が別の物になり、再利用されるということです。
では、私たちの住むこの日本で、どれだけリサイクルがされているのでしょうか?
①リサイクルの種類
リサイクルと一括りで言っていますが、実はリサイクルには以下の3種類があります。
リサイクルの種類
廃プラ製品を、再度製品化すること
廃プラ製品を、化学分解して資源として再利用
廃プラ製品を、燃やし熱エネルギーとして利用
②日本全体のプラスチックリサイクル率
2018年時点での日本全体のリサイクル率は「85%」と言われています。
年間で排出される廃プラスチック量は約850万トンと言われ、国民1人あたりのプラスチック消費量は世界2位とも言われています。
85%のリサイクル率と考えると、日本は大分リサイクルがされている、しっかりと有効利用されている、と思えます。しかし、ヨーロッパでは日本のリサイクル率は非常に低いと言われています。
その理由が、先述した「リサイクル3種類のうちサーマルリサイクルはリサイクル率に含めない」とされているからです。
現在、日本の廃プラスチックのリサイクル率を種別ごとにわけると、「マテリアルリサイクル22%」「ケミカルリサイクル3%」「サーマルリサイクル60%」とされており、サーマルリサイクルを除くと、実に25%しかリサイクルがされていないと海外からは見られているのです。
日本のリサイクル率は85%だが、サーマルリサイクルを含めないと実は25%です。
③リサイクルの優先順位
日本でも「循環型社会形成推進基本法」(天然資源の消費を抑制、環境への負荷を低減する社会)に基づき、サーマルリサイクルの優先順位は低く設定されています。
循環社会形成推進基本法に基づくリサイクルの優先順位は以下のように設定されています。
以下、優先順位が高い順
- 「リデュース」廃棄物等の発生抑制
- 「リユース」廃棄物の再使用
- 「マテリアル・ケミカルリサイクル」廃棄物の再生利用
- 「サーマルリサイクル」熱回収
- 「適正処分」廃棄物の埋め立てなど
では、何故海外ではサーマルリサイクルがリサイクル率としてカウントされないのか?サーマルリサイクルの優先順位が低いのか?
それは、「サーマルリサイクルはプラスチックの焼却時に人体や環境に悪影響を及ぼす有害物質や二酸化炭素を排出してしまうから」という理由があります。この点については本記事でも記述した通り、二酸化炭素による環境汚染がリサイクル問題に該当するからです。
このように、日本基準で考えるとリサイクルは進んでいるように見えますが、世界基準でのリサイクル率は極めて低いと言えます。
3.私たちにできることは?
国が推進するプラスチックリサイクルによる問題改善の施策に、「3R」と実施というものがあります。これは、「リデュース・リユース・リサイクル」それぞれの頭文字であるRを取って3Rと言われます。以下では、この3Rについての詳細を解説いたします。
リサイクルの3R
製品を製造する時に使用する資源量を減らしたり、廃棄物の発生を減少させる。
一度使用した製品や部品を再使用する。
廃棄物を原材料・エネルギー資源にして有効活用する。
上記のような施策を実現するためには、私たち自身の生活から見直し、行うことができる対策があります。
例えば、「普段の買い物では必要な物を必要な分だけ買う」「食品は食べきれる範囲内で買う、注文する」「廃棄の際は自治体が定めた分別方法をしっかりと守る」などです。
不必要な買い物はその分だけ不必要なゴミを出してしまう可能性がありますし、食品などは良い例だと思います。大量の食品を購入したものの、量が多すぎて食べきれず賞味期限が過ぎたから廃棄した、外食時に注文した量が多すぎて残してしまった、というようなことはそれだけで不要な廃棄物を出すことになってしまいます。
少しでも私たちの暮らしを豊かに、住みやすい環境にするためにも、1人1人がこうした問題点に理解を示し、できることから始めていこうという心掛けが大切なことだと言えます。