こんな方におすすめ
- フェールセーフとは?
- 万が一・もしかして時の対策をしたい
- 皆の安全を守る仕組みを導入したい
射出成形は、プラスチック製品を生み出すための最も一般的な手法です。
巨大な射出成形機には、何トンもの重さの金型が使われています。また、射出成形機は、高い圧力と高温を使って、プラスチック原料を製品(成形品)にします。
このような大型で高出力である射出成形機がある現場では、重大な事故も発生します。
火傷や裂傷に加え、挟まれ事故などもおき、年間3~10件の死亡事故が起こるとされています。
射出成形の現場は、労働災害との戦いとも言えます。
射出成形の現場で労働災害が起きないようにするには、様々な注意点がありますが、金型や射出成形機に「フェールセーフ」というしくみを導入することが重要です。
1.フェールセーフとは
フェールセーフとは、「失敗や不具合が起こっても、安全なしくみ」という意味です。
フェール(fail)は失敗や不具合、セーフ(safe)は安全を意味します。
フェールセーフと言っても聞き馴染みがない人も多いかもしれません。
万が一機械が壊れても、作業者に対して労働災害が起こらないようにしておくということになります。


2.フェールセーフ導入の前提
[st-mybox title=”ポイント” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- 機械は故障するものである
- 作業者は誤りを犯すことがある
[/st-mybox]
つい「機械なのだから正確である」、「作業者は気をつけていれば間違えない」と思ってしまいたいところですが、この考え方は製造現場では正しくありません。
機械や作業者に間違いがあっても労働災害が発生しないようにすることが労働災害には重要であり、そのしくみがフェールセーフになります。
[st-kaiwa1]日々の安全は当たり前じゃないね。「万もし時に確実に安全」な仕組み作りがポイントだね。[/st-kaiwa1]
3.フェールセーフ化の原則
フェールセーフを構築していくためには、機械の故障や作業者の誤りが発生しても、作業者の安全が確保されるようにします。
このフェールセーフの構築には、機械の設計・製造・改造などの各段階で、それぞれしくみを作っていくことが重要です。
フェールセーフを実現するためには、「フェールセーフ化の原則」に沿って金型や射出成形機を設計・製造・改造する必要があります。
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[st-point fontsize=”” fontweight=”bold” bordercolor=””]それぞれの工程で、フェールセーフを構築する[/st-point]
[/st-mybox]
フェールセーフの基礎をしっかり固めて、現場に活かしていきましょう。
フェールセーフ化の原則は、以下の通りです。
[st-step step_no=”1″]9つの回路で危険を防ぐ[/st-step]
[st-mybox title=”9つの回路を解説” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- 再起動防止回路
一度停止したらそのまま停止していること - ガード用インターロックの回路
インターロック(条件が整わない限り稼働しない仕組み)を装置に組み込み安全確保する - 急停止用の回路
異常が検知されて時に、急停止すること - 非常停止用の回路
非常停止ボタンにて緊急停止すること - 行き過ぎ防止用の回路
オーバーランした時に、停止すること - 操作監視用の回路
操作ミスした時に、安全を確保する - ホールド停止監視用の回路
ホールド状態(停止状態)で、故障や電磁ノイズの影響で誤動作しないように監視する - 速度監視用の回路
速度の管理幅を設定し監視する - ホールド・ツー・ランの回路
作業者が操作装置を押しているときだけ機械が運転を継続し、操作装置から手指等を離したときは直ちに機械を停止させる回路
[/st-mybox]
[st-step step_no=”2″]誤った時に、安全側で止まること[/st-step]
制御機構は、システムや要素が故障しても安全側に誤る故障の頻度が著しく高いように設計する(非対称誤り特性)。
[st-kaiwa1]補足)安全側とは、バネなら、縮んだ状態、上下運動する装置なら、重力のかかる下の状態のことだよ。[/st-kaiwa1]
[st-step step_no=”3″]制御の設定も安全側を意識しよう[/st-step]
制御機構に、ユーザーがプログラムを変更できる電子制御装置を採用する場合には、非対称誤り特性を有するものを採用する。
[st-step step_no=”4″]安全に定義付けの基本 ➡ 高エネルギー=危険 低エネルギー=故障[/st-step]
安全情報は高エネルギー状態に危険信号。および、故障信号は低エネルギー状態に対応させて、危険や故障を誤って安全と通報しないようにする
[st-step step_no=”5″]安全確認はしっかり[/st-step]
安全情報は、システムに安全情報が入力されない限り、誤って運転許可をしないような情報伝達機構とする
[st-step step_no=”6″]ノイズの耐性に注意[/st-step]
システムにかかると考えられる最大の環境ノイズに対して耐性を有するように、安全情報には十分なエネルギーを持たせる
このような原則を採用して、金型や射出成形機を設計・製造・改造していくことが、プラスチック製造のフェールセーフ化と言えます。
4.射出成形現場のフェールセーフ紹介
射出成形機や周辺機器に導入されているフェールセーフ機能を紹介していきます。
射出成形機 安全扉のインターロック
安全扉が閉まっていないと金型を閉められない。(最近の機種は金型開閉どちらもできない)


射出成形機 パージカバーのインターロック
パージカバーが開いている時は、射出動作ができない仕組み


ホッパードライヤー
□加温防止センサー
○モーターマグネットリレーのサーマルリレー
ヒーターのマグネットスイッチが故障してONしっぱなしになった時に、ホッパー内の温度が上昇して原料が溶け始めてしまうのを防止する温度センサーがついています。
(写真□)
モーターが故障して回らない時に過電流が流れると、自動でマグネットリレーの通電をカットする仕組み。サーマルリレー。
(写真○)


粉砕機 シューター開 リミットスイッチ
粉砕機のシューターが閉まっていないと、粉砕刃が回らない様にインターロックがとってあります。
取出し機 落下側 安全扉閉め確認 インターロック
取出し機は産業用ロボットです。取出し機動作範囲は、基本的に人払いの安全柵が必要です。
落下側の安全扉が開いていると、取出しアームの上下動作が禁止されます。
5.現場で機械や装置の改造をする時の注意点
[st-point fontsize=”” fontweight=”bold” bordercolor=””]フェールセーフを導入する[/st-point]
現場担当者が機械や装置を改造する時は、独自の判断でプログラムを組み込むことなく、しっかりとフェールセーフを盛り込むことが重要です。
[st-mybox title=”注意ポイント” fontawesome=”fa-exclamation-circle” color=”#ef5350″ bordercolor=”#ef9a9a” bgcolor=”#ffebee” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- ✖効率を優先させて、危険なプログラムを組む
- ✖インターロックを無用にして、稼働できるようにする
- ✖万もしを考慮せず、無知な改造をする
[/st-mybox]
[st-kaiwa1]特に、現場に慣れてきた中級者は、機械装置の改善をやりたがるようになります。
プログラムの基礎知識の他に、このフェールセーフの考え方はしっかりと身に着けておこうね。[/st-kaiwa1]
6.まとめ
このようなフェールセーフの考え方は、厚生労働省の職場の安全サイトなどからガイドラインが公開されています。
国際的にもフェールセーフの考え方を取り入れた機械設備の安全設計の規格化が進められています。
射出成形の現場をはじめとする製造現場では、このようなフェールセーフを取り入れた機械設備が推進されることによって、労働災害の防止が拡大していくことが望まれています。





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