こんな方におすすめ
- 残業100時間。疲れた。でも残業しないと稼げない
- 人手不足の今、今後どうなるんだろう?
- 10年先を見た時、今何をすべきなんだろう?
仕事をする上で、守らなければいけない法律や規則があります。
労働基準法やそのほかの法令、規則などです。
ものづくり業界は、生産効率を上げ、高付加価値を提供できるように皆が働いています。
取引先の要望や時代の流れに大きく左右されるため、繁忙期や生産の都合で【仕事量のバラツキ】はでてしまうものです。
また、ものづくり業界の人手不足は慢性的なものになっているため、残業が当たり前になっています。
定時で帰りたいけど仕事が終わらない。
その一方で、残業代を生活の当てにしている人もいます。
様々な想いでしている残業。
ポイント
- 残業したくない
- 残業しないと稼げない
残業ありきで生活をしている - 効率UPして定時であがっても、昇給、賞与をもらえない
- ダラダラ残って稼いでる人がいる
- 家に帰ってもやることないから、たくさん働いちゃおう
ものづくりは、原料費、光熱費、人件費をはじめあらゆる製造コストが上がっています。
ポイント
製造コストは今後も上がり続けていきます。ものづくりは大きな変革を求められています。

利益にコミットしながら、従業員の生活を守る。中長期的な働き方を意識することがポイントですね。
本日は、射出成形工場における、36協定と働き方を考えていきたいと思います。
目次
1.射出成形業界は転換期
射出成形は、プラスチック製品を生み出すための主要な手段です。
射出成形の現場では、様々な種類の大型機械が稼働しています。これらの大型機械を、機械工学、電気、化学などの知識を有した人々が操作し、プラスチック製品を生み出しています。
プラスチック製品の製造工場は全国にありますが、関東、近畿、中京などの大都市圏に比較的多く存在します。
プラスチック製品の製造業では、生産工場の海外移転や、生産工程の自動化・ロボット化、SDGsを目標とした省エネルギー化など、時代に合わせた取り組みが絶えず行われています。
特に近年、人出不足が大きな問題になっています。
戦後から高度経済成長期は、ものづくりで日本は発展してきました。
しかし、ものは溢れ、働き手が少なくなってきた今、ものづくり業界の人気が低下しています。
人出不足の今、ロボットや、IoT、デジタル技術を取り入れて、次世代のものづくりにシフトチェンジしなければなりません。
今までは、人の作業で生産活動をしていましたが、これからは、効率よくものづくりする仕組み作りが、人の仕事です。
人のやるべき仕事をしっかりと見つめなおし、中長期的な視点で業務にあたることがポイントです。
2.プラ業界の就労データ
プラスチック成形を実際に行う従事者は、職業分類においてプラスチック製品製造工と呼ばれています。
厚生労働省が発表している最新の国勢調査では、プラスチック製品製造工は、全国でおよそ30万人です。
プラ加工に従事する人は、全国30万人
厚生労働省公式ウェブサイト職業jobtagからプラスチック加工業に関するデータが公表されています。
プラスチック製品製造工の平均的な労働条件は、1ヶ月の労働時間が166時間で、平均年収が420万円、平均年齢が42歳となっています。ハローワークでの有効求人倍率は、全国でおよそ4.4倍と、労働者有利の売り市場となっています。就業形態は、8割弱が正規の従業員で、残りがパートタイマーやアルバイト、派遣社員、契約社員となっています。
【労働条件】
1カ月の労働時間 | 平均年収(42歳) | 有効求人倍率 |
166時間 | 420万 | 4.4倍 |
【就労形態】
正社員
(8割弱) |
パートタイマー、アルバイト、派遣社員、契約社員
(2割強) |
3.労働時間はどうやって決まるのか?
プラスチック製品製造工の1ヶ月の労働時間は平均166時間と述べましたが、1日8時間で週5日間働いたとすると、1ヶ月の労働時間はおよそ170時間になります。この労働時間ですが、好きなだけ働いてよいわけではありません。
労働基準法(労基法)によって労働時間が定められており、労働基準法第32条では1週間40時間、1日8時間が、労働時間(勤務時間)の上限となっています。ただし、一定の要件を満たせば、1ヶ月を平均して1週40時間にする制度や、1年の労働時間を平均して1週40時間にするといった労働時間を柔軟に設定する制度もあります。いずれにしても、この労働時間を超える労働は、法定時間外労働と呼ばれ、いわゆる残業となります。
【労働時間の基本】
基本的に、8時間/日(40時間/週) | それ以外は残業 |
プラスチック製造現場に限らず、1日8時間、週40時間では全然仕事が終わらないかもしれません。
特に日本では、実質的に週40時間以上の勤務をしている人も多いのではないでしょうか。労働時間が週40時間を超えたら、すぐに違法というわけではありません。
4.36協定とは
労働基準法では、1日および1週間の労働時間と休日日数を定めていますが、労働基準法第36条の規定により、時間外労働・休日労働協定を締結し、労働基準監督署長に届け出ることを要件として、法定労働時間を超える時間外労働および休日労働を認めています。
この協定が、36協定(サブロク協定)と呼ばれるものです。
36協定は、労使交渉において頻繁に登場するので、中身は知らないけれど、言葉は知っているという人も多いかもしれません。
36協定は、時間外労働を認める協定ですが、無制限ではありません。厚生労働省より、36協定を締結するにあたり、使用者(雇用主)は下記の点を留意するように求められています。
36協定のポイント
- 時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめる
- 労働者に対する安全配慮義務を負う
- 時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にする
- 特別の事業がなければ、限度時間(月45時間・年360時間)を超えることはできない
- 休日労働の日数と時間数をできる限り少なくする
- 限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保する
このように、あくまで特別な事情があった場合に、要件を守って時間外労働を認めるのが36協定です。
しかし、実際のプラスチック製品の製造現場では、恒常的に残業が発生していることもあります。
会社によっては慣習的に年休の消化率が低く、また、ギリギリの人数で勤務シフトを組んでいるので、休みが取りにくいといった声が聞かれます。
プラスチック製品製造業でも、時折違法な時間外労働により、雇用主が書類送検される例が見受けられます。
5.交代勤務の問題
プラスチック製品製造業では、製品の製造に合わせて2交代勤務制や3交代勤務制がとられています。
2交代勤務制は、12時間拘束(所定勤務8時間+残業3時間+休憩1時間)の労働時間となります。
一方、3交代勤務制では所定勤務の8時間の労働時間ですが、勤務の開始が夜になることもあります。
このような交代勤務制では、深夜手当や連操手当などの割り増し手当が支給されますので、給与は高額になります。
また、生活リズムが崩れるので健康面の問題もあります。
労働問題の解決には、労働時間を短くすればよいと思われますが、問題はそこまで単純ではありません。労働者によっては、残業代を稼ぎたいので、残業をさせてほしい、3交代勤務制ではなく2交代勤務制にしてほしいなどの要望もあります。
交代勤務は時間単価が高いため効率的に稼げる。反面健康面の問題もある。
6.労使でしっかりと話し合う
このように、プラスチック製品製造業での労働は、使用者と労働者のニーズが多様であり、労働時間を一概に決められないといった問題があります。
このような労働環境に関する話になると、使用者vs労働者といった対立構造になります。
しかし、本来、使用者と労働者は同じ会社の仲間のはずです。
対立構造になってしまう原因の1つは、ルールに違反した労働環境にありますので、まず労働条件に関するルールを遵守することが重要です。
ルールを遵守するためにはまずルールを知ることが必要です。
都道府県の労働局は、労働問題に関する勉強会を行なっており、そのような機会では知識を得るのみならず、同業他社の方々とのつながりもできます。つながりができると、自社の実態が把握できますので、きちんと法律を理解するとともに、違反している場合には声を上げられる状態にしておくことが重要です。
7.利益にコミットした働き方がポイント
今までのものづくりは、終わらない仕事を【人の作業】で解決していました。
しかし、今は人が集まりません。これまで同様に仕事を受けることができなくなります。
では、何をすべきなのか?
自働化、IoT、スマート化などを導入して、抜本的な改革が必要です。
工場が人に依存せず、省力でフル稼働できるようなシステムを作っていきましょう。
ものづくりの仕組みを作るのが、これからの人の仕事です。
とはいえ、現状すぐにデジタル化をはじめ生産工程のスマート化は難しいので、すこしづつ部分的に導入を始めていきましょう。
射出成形工場におけるIoT事例の解説は下記リンクから
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射出成形 IoT事例をご紹介 デジタル化
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8.投資型の仕事を意識する
毎日仕事に追われて忙しいと悩んでいる人が多いと思います。
昨日、今日、明日。同じ仕事を同じようにやっていては、一向に生産性や効率は上がりません。
仕事を分析し、いかに省力で大きな利益を産むことができるかを考えてみましょう。
投資型の仕事とは、明日の仕事が少なくなること。
毎日やらなくてはいけない仕事こそ改善すべきです。
投資型の仕事のポイント
明日の仕事を減らすには、ECRS改善の法則を意識してすすめます。
- やらなくて良い仕事はやらない(Eliminate)
- 仕事をくっつける(Convine)
- 仕事の順番を入れ替える(Rearrenged)
- シンプルにする(Simplenize)
まずは、自分の仕事を減らしていきましょう。
追われているうちは、仕事はコントロールできません。

9.視野、視点、視座を磨く
自身の仕事をコントロールできるようになったら、全体を俯瞰する力を身に着けていきましょう。
全体を見るポイント
- 視野:木ではなく、森を見る広さ
- 視点:いろいろな角度から物事を見る
- 視座:物事を見る高さ。現場担当者➡課長➡部長➡社長
自分のやるべき仕事は何なのか?
どうすれば会社の利益が最大化するのか?
しっかりと全体を俯瞰し考えることが重要です。

そのレベルになれば、おのずと給与は上がってきます。
単純作業者から、班長、係長、リーダーなどの管理者になることで基本給があがります。
目の前の仕事だけを思考停止してこなすのではなく、しっかり分析し明日の仕事を減らす投資型の仕事を進めていきましょう。