工作機械の技術に関しての内容はありません。
工作機械は、まったくの初心者🔰なので、プラスチック成形者から見たJIMTOFレポートになります。
備忘録として残します。
射出成形の現場×機械屋の目線で
射出成形業界のみんなに役に立つ情報を発信していきます。
11月13日まで開催しているので、会場を回る参考にしてもらったら幸いです。
目次
1.JITTOF2022 日本国際工作機械見本市
開催2022年11月8~13日
コロナウィルスのため、4年ぶりの開催となりました。
JIMTOF2022
📍東京ビッグサイト到着😁✨
楽しみだ✨#JIMTOF#JIMTOF2022 pic.twitter.com/pPRNNR72i8
— プラ太郎@特級プラスチック成形技能士 (射出成形) (@PlasticFan2017) November 9, 2022
日本の工作機械は、優秀で輸出台数は、直近2022年9月統計で、1,508億円(国内524億、国外984億)です。
2022年は、売れ行きは好調のようです。コロナ前の受注高を、上回るであろう勢いとなっています。
2022年度 月度 受注額 (単位:百万円)
※データは工作機械受注統計から転用
年度別 受注額統計
2.初心者から見た工作機械のすごさ
人件費、原料費、光熱費の高騰🔥に、工数削減、時間短縮の提案が多くみられました。
- 工作機械の複合化
- 5軸制御による加工技術(インペラー、人工関節)
- ユーザーにやさしいプログラム補助
- 協同ロボットや自動可搬装置との連動
- 切削工具の消耗度を数値化→交換
- 環境に適したものづくり(カーボンニュートラル)
2-1.複合加工機×協稼ロボット
複合加工機(旋盤とフライスを足したような機械)に、工具を装着できるパレットやツールチェンジャーを装備することで、段取り時間の削減になりますね。
(ヤマザキマザックさん公式ツイートから転用)
歯車(ギア)の加工に特化したINTEGREX AGシリーズなら、5軸複合加工、歯車の高精度加工、歯車の計測・補正が1台の機械で実現できます。#JIMTOF2022 では、「INTEGREX i-250H AG」と「INTEGREX i-630V/6 AG」の2台でギア加工をご覧いただけます。 #JIMTOF #マザック pic.twitter.com/dbnQmo6re2
— ヤマザキマザック株式会社【公式】 (@Mazak_Japan) November 9, 2022
さらに、協稼ロボットに後工程を作業させることで、省人化が実装されています。
数ミクロン台の高精度加工でも無人化は可能💡
①ガントリーローダが素材を掴み、チャックへ取付け
②加工
③協働ロボットが計測器を掴み、チャックに付いた状態のワークを機内計測
④追加工
⑤ガントリーローダで完成ワークの取り出し
⑥協働ロボットが箱詰め
そのまま出荷!!#マザック #JIMTOF2022 pic.twitter.com/SmlEwQpBIA— ヤマザキマザック株式会社【公式】 (@Mazak_Japan) November 9, 2022
2-2.最適な切削プログラムの提案
作りたいものの3Dデータを元に、機械が最適な切削プログラムを提案してくれる。
今までは、人が2Dに直して、座標を入力して切削していたものが、自動化されているそう。
実際に切削する前に、仮想空間で動作を確認できる。
ワークに切削工具が衝突しないような安全機能も付いている。
中村留精密工業さんブースで、お話を伺いました。
切削工具の消耗を検知できるとのこと。
簡単に要約すると、刃物は、100%の状態ではモーターの負荷が少なくサクサク切削できるのに対して、刃がなまってくるとモーターの負荷が増えていきます。あらかじめ数値を設定しておき、能力が下がってきたら同形状の予備刃物で切削を続行すると教えてもらいました。
パレットに、同一の刃物を2本3本つけて消耗度にあわせて、工作機械が自己判断して変えていく。素晴らしいですね。
中村留精密工業さんのTwitterの公式動画なかったので、公式HPのリンクを下記から
-
ソフトウェア | 中村留精密工業株式会社
続きを見る
3.しぶちょーさんにお伺いした工作機械の動向や働き方
JIMTOF当日に
機械設計者のしぶちょーさんとお会いする機会があり、工作機械の解説を軽くしていただきました。
内容を、プラ太郎的な解釈で5つのポイントにまとめました。
- 工作機械業界のトレンド
- 海外のものづくり事情
- デジタル人材の育成
- ものづくりの基礎知識×テクノロジーを使いこなす力
- SNS活用
3-1.工作機械業界のトレンド
自動化、省人化、ロボット導入、プログラムの最適提案など、人の介入がなくても切削加工ができるシステム作りが業界のテーマになっていますね。
今まで職人のカンコツでプログラムしていたものを、最適な切削データをあらかじめ準備されていて、加工機が判断できるようになっている。
メーカーの提案に対して、実際の現場レベルでは、複合加工機より旋盤とフライスに分けて加工するほうが、2台で2つのワークを加工できるので良いこともありますね。複合加工機は高額なのもポイントですね。
導入・ランニングコスト、工程などユーザーのメリットに合致すると工場最適化が進みそうです。
5軸の加工機で実際の仕事をしている会社は、まだまだ少ないものの、もし5軸の仕事が来た時の投資、社内の技術力の証明など名刺代わりにもなっています。
3-2.海外のものづくり事情
今まで熟練の職人が介入しなければ成立しなかった切削加工が、簡単な操作だけでプログラムできるようになっている。
この背景には、海外のものづくり事情が大きくかかわっているといいます。
海外では、ものづくりに従事した人が技術を身に着けると、他社に転職してしまうそうです。
日本より人の流動が激しく、2~3年で入れ替わってしまうため、企業側は人に技術を教えても、無駄になってしまいます。
そこで、「工作機械の技能を高めて、誰でもものづくりができるシステム」の構築が進んでいます。
3-3.デジタル人材の育成
職人の技術が、優秀な工作機械に取られてしまうのではないか?
現場で切削加工している人は、不安になるかもしれません。
以前にも、同様のイノベーションは起こっていました。
【汎用旋盤→NC旋盤】+専用工具メーカー発展です。
今まで手作業で切削していた切削加工が、デジタル座標を用いて切削できるようになりました。
また、工場が独自の会社で自作していた切削工具を扱うメーカーが発展し、旋盤加工がコモディティ化しました。
当時も同じように機械に仕事を取られてしまうのでは、という不安の声はありましたが、便利は工作機械は職人の技術と掛け合わされさらに切削加工のレベルが上がっていきました。
ここでポイントになったのが、変化を受け入れることです。
新たなテクノロジーを一早く取り入れた人、企業は発展し、逆に、変化できない会社は淘汰されていくものです。
3Dデータからの最適プログラム、ロボットと連動するものづくり、工場の見える化などデジタルを駆使して切削加工をシステム管理するデジタルリテラシーが求められる時代になってきました。
3-4.ものづくりの基礎技術×テクノロジーを使いこなす力
ハード面で、工作機械の加工精度や、加工処理能力は日々進化しています。
ソフト面で、ユーザーと加工機の橋渡しを最適プログラムや、刃物の消耗度管理が支援しています。
人は、その工作機械の能力を最大限に引き出す、管理者のポジションが求められているのではないでしょうか。
機械の性能にすべて頼るよりは、汎用機の基礎知識や加工ノウハウはあったほうが良いです。
トラブルシューティングや、前例のない高度なプログラミングには知識・技術を応用する力が必要です。
今後、ものづくりで求められる人材は、ただ加工する職人ではなく、今までの作業にテクノロジーを駆使して新たなシステムを構築できる人材と考えます。
3-5.SNS活用
SNSを活用されている企業が多くなっています。
特に今回ツイッター活動をしていた、メーカー担当者、ユーザー、情報発信者がリアルに交流する場になっていました。
ハッシュタグ#JIMTOF #JIMTOF2022 #JIMTOFオフ会で、おのおのに会って情報をシェアしていましたね。
企業の技術を盗まれてしまうというリスクは、各社感じています。
しかし、それ以上にSNSを攻略できないと広くユーザーに商品が届きません。
展示会に出展は重要ですが、SNSをうまく使うことで展示会の訪問客の何十倍何百倍の顧客に認知できます。
今後は特にネットを交えて集客するテクニックも必須になってきそうです。
4.射出成形関連の情報をシェア
JIMTOFを11月9日に一回りして、射出成形関連でお会いした企業さんをご紹介します。
4-1.ソマックス クリピカエース
大阪に本社のあるソマックスさんの金型洗浄機クリピカエース
【電気分解×アルカリ性溶液】の力で、鉄鋼系の部品のガス汚れをきれいに分解できます。
専用の装置内のかごに入れて、電気分解すると泡がでてきて、ガス汚れが取れる仕組みです。
- 小さな入れ子
- コアピン内の細い水管
- 指や綿棒などがとどかない狭所
射出成形において、金型の定期オーバーホールは必須です。
時間のかかる細かい面倒な作業は、専用洗浄機に任せましょう。
溶液は、100時間ほど効果が続きます。時間とともにアルカリ性が中和されていき洗浄効果が減っていきます。
なお、銅やアルミには不向きだそうです。
詳細は公式HPソマックス クリピカエースから
ソマックス@somax_co_ltd さん
金型洗浄機クリピカエース
電気分解 × アルカリ性の洗浄液☑金型の入れ子
☑手の届かない狭所
☑強いガス汚れ洗浄液は100時間まで効果が持続する🧪
射出成形では
定期金型O/Hは必須🧑🔧洗浄作業は機械に任せよう✨
定期作業こそ時短・効率upだね✨#JIMTOF2022 pic.twitter.com/y7Bt7cAtsh— プラ太郎@特級プラスチック成形技能士 (射出成形) (@PlasticFan2017) November 9, 2022
5-2.コスメック
コスメックさんは、神戸のロボットハンドやツールチェンジャー、マグネットエジェクターなどを取り扱う会社さんです。
ロボットハンドチェンジャー
複数のハンドを持ち替えることで、ロボットの性能を最大限に引き出し様々な作業を1台のロボットで可能にする。
人材不足、資材の高騰、光熱費UP。
特に深刻な人材不足は直近の課題です。
1年後、5年後の未来では、協同ロボットが稼ぐものづくりに移行していきそうです。
そのロボットをより効率的に稼働させるには、持ち手を変えるです。
射出成形の現場において、課題は山積みです。
困りごとは、まず相談してみましょう。
導入実績が多くノウハウのあるメーカーから知恵を借りて工場の最適化を目指していきましょう。
詳細は、公式HPから コスメックロボットハンドチェンジャー
コスメック
辻野さん@kosmektsujinoロボットハンドチェンジャー×協働ロボット
人材不足は、目先の課題🧑🔧
☑複数の工程
☑ロボットが段取り換え
☑様々な把持が可能ハンドルチェンジャーが、ロボットの能力を引き上げる✨
現場の悩みを相談してみてね!https://t.co/ks9rP4YHoK#JIMTOF2022 pic.twitter.com/kAx1v3TFGf
— プラ太郎@特級プラスチック成形技能士 (射出成形) (@PlasticFan2017) November 10, 2022
6.まとめ
JIMTOF2022 初めての見学にいきました。
工作機械の国内最大級のイベント。
ものづくりのワクワクをたくさん感じましたね。
射出成形の金型ってこうやって彫ってるんだ!!
実際に工作機械が複雑に動いているのを、自身の目で見てもらいたい😁
工作機械の最新技術×ロボット×AI
どんどん進化しているコアな技術を実際に目で見るといろいろ気づきがあるもんです。
射出成形業界も同じく、技術×デジタルが目下のテーマ。
人材不足は深刻です。
テクノロジーの波に乗り遅れないように、技術力を高めていきたいですね。
そして
来年2023年は、IPF(国際プラスチックフェア)を控えています。
射出成形業界もがっつり盛り上がっていきましょうね⚙️🧑🔧😁