射出成形業界で【技能士資格】は花形です。
その守備範囲はとても広い。
・条件出し
・段取り替え
・保全メンテナンス
・不良削減
・是正処置
・クレーム処理
・作業指導
・改善活動 など多岐に及びます。
特級プラスチック成形技能士として、これまで13年間射出成形業界に従事してきて、
色々な課題にぶつかり、知識、記述、知恵と執念で結果を残してきました。
そんな歩みの中で、色々な人と一緒に仕事をさせていただきました。
そこで見えてきた
仕事のできる技能士と、こいつは駄目だなと思う技能士の違いを解説し、
技能士に合格したら、こうあるべきという目標をシェアしていきたいと思います。
テーマは、
仕事のできる射出成形技能士の特徴 5選です。
1.おごらず謙虚であれ
技能士に合格した途端、偉くなってしまう人が実に多いです。
技能士試験の難易度は、高い。
合格できた実力は誇って良いでしょう。
しかし、まだ合格できていない同僚や、社内のメンバーに対して見下したり、高圧的になるのはいかがなものか?
全ての人にリスペクトの姿勢が理想です。
どんな作業も上下はありませんし、射出成形技能士に関して皆より少し秀でているだけです。
理不尽に当たり散らせば、必ずしっぺ返しがきます。
また、上司や経営者のことが小さく見えてしまうこともあるでしょう。
しかし、それまで組織の根幹を築き、育ててきたのは彼らです。
できる人間は、上司をフォロー、部下をリードし、全ての中心で活躍します。
特に成形工場において技能士は、他部署とのハブになる常用なポジションです。
周りの人の能力を引き出し、チームの旗をふるリーダーの視点を持ってもらいたい。
技能士資格の勉強を通して培った知識、技術を、実務に役立てるよう注力しましょう。
2.感情をコントロールせよ
いつも怒っている人。これは良くない。
このタイプの人の口癖は、「そんなのできねーよ。(怒)」です。
技能士として業務に当たっていくと、ドンドン仕事が増えていく。
すると想定外のことが起こる。
【怒り】というのは、この想定外のことに反応した結果、起こる感情です。
あえてきついことを言いますが、
裏を返せば、事前の見積もりが甘い。
事故、トラブルが起こっても、軌道修正できる余裕を持っておくことが重要です。
生卵を落とせば割れてしまう。予め緩衝材で包んでおけば守られる。
すると、更にこう言い返してくる。
「そんなこと言っても、毎日忙し過ぎるんです。」
毎日同じことをやっているからじゃないですか?と問いたい。
毎日改善することはあります。
・作業改善、簡素化、省略
・職務分掌
・書類の電子化
・2S など
行動している人間から、そんな弱音は出てきません。
逆に、どうしたらできるだろうというチャレンジの思考を持ちましょう。
3.勉強熱心であれ
技能士資格取得で習得したのは知識技術だけではありません。
・勉強する習慣
・合格するためのプロセス
・仕事との両立 など
多くを【学ぶ】ことができたのではないでしょうか。
仕事以外の自己研鑽は、社会人にとってとても重要です。
日本で、社会人の一日の勉強時間はなんと「平均6分 / 日」と言われています。
なんとたったの6分です。
この数字は、経営者や個人事業主も含めますので、
サラリーマンで勉強している人は全体のほんの一握りです。
技能士合格を期に勉強習慣の継続をしましょう。
勉強を継続するためのポイント
①次の目標を定めて、試験に応募
試験費用を先に投資することで、無理やり勉強を強制します。
人間は期日が迫らないと、なかなか身を入れられません。
射出成形技能士と親和性の良い資格
・電気工事士
・衛生管理者
・toeic など
積極的に挑戦していきましょう。
②アウトプットを意識して情報収集
仕事に役立つ情報収集をしていきましょう。
ただ情報を集めているだけでは、飽きてしまうし、絶対に身にならないです。
情報収集のポイントは、【仕事に活かせないか?】の視点でインプットすることです。
おすすめは
・工場IOT / DX(デジタルトランスフォーメーション)
・FA(工場自動化、省人化)
・マーケティング
・プレゼンテーション
・ライティングスキル など
射出成形作業の実務とは、少し異なりますが、工場の成長には不可欠な要素です。
今までのモノづくりの常識は、時代遅れになっていきます。
インターネットを連動し、データ管理、自動化・省人化が、生き残る鍵になります。
新たなテクノロジーをインプットし、
「ウチの工場に取り入れてみよう。」の視点が重要です。
4.利益を意識せよ
技能士資格を取得したことで、今度は1段上の感覚で仕事に当たってもらいたい。
ただ型替えをしたり、ライン作業者の休憩交代をして一日が終わり。
「今日も一日頑張ったぞ。」では、甘い。
1円でも多く利益が出るように製造する視点が必要です。
・不良削減
・歩留まり率改善
・稼働時間UP
・段取り時間の改善
・是正処置やクレーム処理
広い視野を持って業務を見渡して下さい。
例えば、
製造した製品の付加価値を算出。
現状の歩留まり率を分析し、
次製造する時は、より効率的に製造し利益を多く残せるようにする。
または、ライン作業者のタクト管理をし、治具の改造、配置替えをし、作業効率を5%UPさせる。
同じ作業でも、考えて仕事をしている人は、結果が大きく異なりますよね。
これが一流の技能士の視点です。
5.管理者・経営者の視点を持て
技能士を取ったことで、そのスキルは認められました。
職人として、そのスキルを磨き上げることはもちろん必須です。
その一方で、周りを巻き込んで一緒に成長するチーム作りが肝心です。
会社の規模は大小ありますが、技能士資格を取得した人は、
それなりのポジションを担うことになります。
主任、係長、課長、部長など責任のある立場を任せられると思います。
あるいは、将来的に昇進が期待されています。
どのポジションであれ、管理者・経営者の視野を持ちましょう。
重要なのは、【肩書ではありません】。
任されたポジション以上の高い位置でモノづくりを俯瞰しましょう。
1年生は、与えられた仕事をこなすことでいっぱいいっぱいです。
進捗を確認し、都度進路を修正してあげます。
パートさんは、限られた時間した仕事ができません。
変則勤務でも力を発揮できるように、作業量を調整して依頼すべきです。
ベテランは、凝り固まった慣習に囚われ過ぎてしまいがちです。
プライドを損ねないように諭して、円滑に作業してもらいます。
そんな同僚を、一つのチームと考え、熱く、時には寄り添い、
全員参加のモノづくりをしていくことが重要です。
ただ、上から指示するだけではチームは成長しません。
逆に、全て放り投げて任せても良い結果は絶対に出ません。
それぞれの抱える問題を一緒に悩み、行動し、解決する。
その一つ一つの積み重ねがチームの信頼を築きます。
まずは、giveの精神でどんどんコミュニケーションを取っていきましょう。
自ずと、皆から認められるリーダーになっているはずです。
この感覚視点は、管理者、経営者の持つべき監督力になります。
みんなの前に立ち、大きく旗を振り、「こっちだよ🚩」と先導する
まさにリーダーの姿です。
一流の技能士は、どのポジションにいても、チームのリーダーになります。
6.まとめ
本日は、仕事のできる射出成形技能士の特徴 5選についてシェアしました。
- 謙虚であれ
- 感情をコントロールせよ
- 勉強熱心であれ
- 利益を意識せよ
- 管理者・経営者視点を持て
この5つを心掛けることで、あなたの成長は加速します。
今後のご活躍をお祈りしております。