また、1号機で「材料切れ」だよ。
・あぁ忙しい。対応しきれないよ。
・困ったなぁ。原料ギリギリなんだよなぁ。
突然予期せず起こるのが「材料切れ」です。工場内に異常アラームが鳴り響き、駆けつけてみて、「あぁぁぁやっちまった。。。」「また怒られちゃうな。。。」
みなさん何度も経験されているんではないでしょうか。
とりあえず再稼働はするけど、原因追究と対策処置までには至らず、「再発」「再発」の繰り返し。。。
今回はそんなやっかいな不良事象「材料切れ」をテーマに、原因と対策と「たった1つの重要なマインド」をお話します。
目次
1.「材料切れ」とは
射出成形の「製造工程」は、プラスチック原料を、原料タンクに投入することから始まります。当たり前ですが、原料タンクが「空」もしくはホッパー口から供給がされないと製造はストップしてしまいます。
この状態を「材料切れ」といいます。
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2.「材料切れ」が及ぼす影響
(ⅰ)成形停止
原料が供給できない状況ですので、「計量 異常」で停止します。
(ⅱ)成形品は、不良
当の成形品は、計量がしっかり出来ていないので、充填不足や重量不足になります。計量時間が伸びることでガスによる外観不良も起こります。
また、加熱筒内に滞留する原料は、数ショット分ありますので、さかのぼって前品の品質も保証できない状態となります。
(ⅲ)再稼働は、ムダしかない
射出成形の基本は「連続成形」です。1回「材料切れ」になってしまうと、再稼働しなくてはなりません。パージ後に成形始めますが、品質が安定するまで捨てショットを行います。この間は「良品取り」ができません。
再稼働には原料費、光熱費、人件費の全てがかかり、「利益」がマイナスされます。上司や経営者が起こるのも無理はありません。
(ⅳ)二次災害
通常の業務をやりながら、「材料切れ」対応となります。そんな時に限ってトラブルは続くものです。本来冷静に対処できるはずが、ポカミスをしてしまったり、急いでさらなる事故を起こしてしまうものです。
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3.「材料切れ」原因と対策
なぜ「材料切れ」はおこってしまうのでしょうか?
「人」「原料」「機械」「方法」の4つ視点から「原因追求の仕方」「対策の立て方」を説明して参ります。
(ⅰ)人
「作業者が原料投入忘れ」
ポカミスです。結論から言うと「人のミス」は「ゼロ」にすることは出来ません。
品質マネジメントの考え方では、「人のミス」は原因のきっかけに過ぎないとされています。その理由から「人のミス」は原因と考えない様にします。
対策:
忘れない様に、「投入指示書」や「チェックリスト」など「記録する」ことで、リスクの軽減をはかります。ただし、恒久的な対策にはなりません。
(ⅱ)原料
「粉砕材が原因」
粉砕リターンしている成形品は、ホッパー口で粉砕材が悪さをすることがあります。「詰まっている粉砕材」と「ホッパー口がどう詰まっているか」を良く確認してみましょう。
①粉砕機の刃が消耗してミスカットが出ている。
対策:粉砕機の点検修理。
②スプールの形状と粉砕機の刃の相性が悪い。
対策:成形品スプールとの相性を見直し、適正な粉砕機を選定する。
③粉砕材の混合比率が多すぎてホッパー口で詰まる。
対策:混合比率の見直し。
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(ⅲ)機械・設備
「成形機が原因」
ホッパー口のシャッターが、成形機の振動で閉じてしまう。
対策:
シャッターを固定しましょう。
「ローダーが原因」
ローダー関する要因は一番多いと思います。「適正な設定・操作」をすることで「材料切れ」は格段に減少します。
①原料ホース空気穴が、ずれてしまった。
対策:空気穴を固定する。またはホッパー内レベルスイッチに連動するアラームを取り付ける。
②ローダーの粉塵タンクがいっぱいで吸い上がらなかった
対策:粉塵タンクは定期に清掃する。またホッパー内レベルスイッチに連動するアラームを取り付ける。
③ローダーの電源(スナップスイッチ)と原料ホースがぶつかって、OFFになってしまった。
対策:ホースに当たらない様に、電源スナップスイッチをコントロールボックス内に移設する。
(ⅳ)方法
ここで言う「方法」とは、単独では原因とはなりがたいでしょう。
「人」+「方法」=「投入手順」になり、「機械」+「方法」=「操作手順」となります。
ですので、「方法」は「人」「原料」「機械」と一緒に考えましょう。
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4.「材料切れ」たった1つの重要なマインド
「材料切れ」は、対策を1つづつ実施していくことで必ず無くせる事象です。
「またやっちゃった。原因は分かっているけど、今忙しいから。」では、いつまでたっても無くせません。軽く考えないで下さい。「材料切れ」は完全にマイナスしかありません。
では、どう考えるか?
たった1つの重要なマインドは、
対策の実施を「先送りにしない」ことです。