射出成形工場 【新人】向けの記事です。
上司先輩から、「原料の取り扱いには細心の注意を払え!」と言われているとは思います。
「なぜ?」か、ちゃんと理解していますか?
また、原料管理は「利益」に直結しています。適切な原料管理を怠ると、「利益」は減ってしまいます。
遅かれ早かれ「原料担当」は経験すると思います。
本日は「原料管理」注意すべき5つのポイントをお話します。
目次
1.成形品の「販売価格」
まず「原料管理」をお話する前に成形品の「販売価格」についてお話します。
射出成形で製造した成形品の「販売価格」は、事前の見積りであらかじめ決まっています。その「販売価格」の内訳は、簡単に説明すると下記の様な感じです。
原料費、人件費、電気代、利益などは決まっているってことですね。
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2.「原料費」が増えると「利益」が減る
「成形品」の販売価格は決まっているので、1個の「利益」も決まっています。
ところが、トラブル・事故などの問題が発生し、原料が余計に必要になってしまったらどうなるでしょうか?
下の図の通りです。
「
利益」が減ってしまいます。もちろんこれは、労務費、経費についても同様です。
つまり「原料=お金」です。
上司先輩は「原料の取り扱いには細心の注意をしろ!」と言うのですね。
3.「原料管理」 注意すべき5つのポイント
(ⅰ)絶対 慎重な取り扱い
原料はとにかく「高い」です。PPで200円/kg程度から、PSU2,000円/kgなどの高価な原料もあるでしょうし、今後は、原油高や人件費の高騰により、さらに値段は上がっていきます。
そんな原料を、角にぶつけたり、強い衝撃を与えるなどして「破袋」させてしまうと、被害損額は甚大です。
「25kg/袋を原料を担いで、投入しての作業」を繰り返していくと、体力的にもどうしても作業が粗く雑になってしまうこともあるでしょう。
休憩を定期に取ったり、重労働が重ならないように工程を工夫するなどして「原料の取り扱い」は慎重に行いましょう。
(ⅱ)適切な段取り(予備乾燥)
予備乾燥が必要な原料は、生産計画を確認し、適量を用意しましょう。
PCでは予備乾燥に4時間程度かかります。原料の乾燥待ちからの再稼働にはパージ、廃棄ショットがかかります。生産予定も狂ってしまいます。マイナス要素しかありませんね。
(ⅲ)原料投入停止
生産計画に沿って「生産予定・残数」を計算して、原料投入し過ぎに注意しましょう。
乾燥機・ブレンドタンクの容量を計算し、「成形予定・残数」に必要な原料を計算しましょう。
(例)「成形予定・残数」に必要な原料の計算方法
「成形予定・残数」が1,000個、成形品重量50gですと
「成形予定・残数」1,000(個)×成形品重量50(g)=50kgとなります。
乾燥器・ブレンドタンクに投入されている原料を確認し、「原料投入停止」などの表示をしましょう。
(ⅳ)粉砕リターン
見積りの段階で、「スプール・ランナーを、粉砕リターン可能」かどうか決まっています。
粉砕リターン可能な成形品は、スプール・ランナーを廃棄することなく使いましょう。
(ⅴ)破袋時の対応
慎重に扱っていても、不慮のトラブルは起きるものです。「覆水盆に返らず」のことわざの通りで、壊れたものは戻せません。
破袋させてしまった時の対応での重要なポイントは、二次災害防止です。
破袋の程度にもよりますが、床に落ちてしまい使えない原料と復旧できる原料とをしっかり仕分けしましょう。ここでの二次災害は、仕分けが不十分だと、ゴミが混入し成形した時、成形品に混練されてしまう事です。
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4.まとめ
【新人】向け「原料管理」注意すべき5つのポイント
- 絶対慎重な 取扱い
- 適切な段取り(予備乾燥)
- 原料投入停止
- 粉砕リターン
- 破袋時の対応
「原料管理」の話をする上でやはり基本は、「原料は売上に直結」するということです。「原料=お金」を粗末に扱えば当然「利益」は減ります。最新の注意を払い慎重に扱ってください。