射出成形工場では、
- プラスチック原料を仕入れ
- 射出成形機で製品に加工する ことでお金を稼ぎます。
「お金を稼ぐ」=「社会に価値を与える」こと
原料費、商品の値段は一定です。
つまり、いかに加工するコストを下げられるかで会社に残るお金【利益】が変わってきます。
安く加工できれば、利益が多くなり
人件費を多く掛けると、利益が少なくなってしまいます。
その理由で経営者は、付加価値をあげろ!としきりに言うんです。
本日は、いかに安く加工するか。に焦点をあてて、射出成形業界に入ったばかりの新人さん向けに
「省人化」について解説していきます。
1.省人化とは
人の手を省くことです。
工程(生産システム)を見直し、人の作業を減らすこと。
または、手作業を機械・ロボットに作業させること(自動化、機械化)。
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2.なぜ省人化が必要なのか?
少子高齢化、また製造業従事者の減少。
2020年2月時点での 東京の最低賃金は、時給1,031円です。
高い!!!
今後ますます人件費は上がっていきます。
かといって、商品の売値は据え置きです。
今までと同じように加工している様では、利益が先細りしていきます。
将来的にプラスチック加工は、省人化を進めていける企業のみが生き残れる業態となっていきます。
逆に言えば、省人化してうまく加工できれば生き残れる業態とも言えます。
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3.省人化の例
(ⅰ)工程(生産システム)の見直し
まずは、【現状】を把握しましょう。
簡単な成形の工程は下記の通り
原料補給→成形→運搬→倉庫→出荷
まずは生産に
- どんな工程があるか
- 誰がかかわっているか
- どんな資材が必要か
など、紙に書いていきましょう。
そして、改善の4原則「ECRS」に則ってムダ取りをしていきます。
- E:排除(なくせないか?)
- C:結合(くっつけられないか?)
- R:交換(交換できないか?)
- S:単純化(シンプルにできないか?)
この4つの視点を用いる事で、確実にムダが見えてきます。
改善の4原則は順番も大事です。1から順に改善していきましょう。
いきなり高額な機械を導入するのはハードルが高いです。
現状を知る事でもっと付加価値を上げられます。
大きな改善の前に身の回りのできることから進めて行くことが重要です。
工程改善の成果がでてくると、次第に改善ポイントが頭打ちになっていきます。
でもまだまだやれることはあるはずです。
知恵を絞って、もっと知恵を絞って、乾いたぞうきんから1滴の水を絞り出す。
現場をもう一度見渡してみましょう。
着眼点を変え、あっと驚く逆転の発想など0ベースで改善してみましょう。
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(ⅱ)機械の導入
改善も万策尽きた。となって初めて機械の導入です。
設備の導入は、最後の最後、本当の最後です。
しっかり管理された工程内で、機械は力を発揮します。
少し考えてみれば想像できますが、
- 現場が片付いていない
- 自分のやるべき事がわかってないスタッフさんが多い
- トラブル対応に追われている技能士
- 納期に間に合わないため急遽型換え
など、機械を導入しても逆に工程が増え、使いこなせるはずがありません。
高い設備導入費を償却できる環境を整えれ置くことが最低限の準備です。
○機械の紹介
画像検査機
キーエンス、オムロン、各取出し機メーカーなどから、成形品の検査。
- ショートショット
- 練り込み異物
- シルバー
- 気泡
- クラック など
成形後の表面の検査をおこなう機械です。
あらかじめ設定していた良品画像と比べて合否判定を行います。
金型が開いた時に判定するものや、取出し後にカメラをとうして判定するもの等があります。
判定したい不良項目に対して、ライトの色、光線の種類など細かく設定できます。
1アイテムの合否判定速度も誤差なく高速処理が可能です。
今まで人の目で検査していた工程が機械に置き換わる事で飛躍的に効率が上がります。
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ゲートカットロボット
射出成形品にはつきもののゲート処理を行う機械です。
取出し機のオプション、外部に据え置きするもの等あります。
射出成形機の大量生産に合わせて設定した位置でゲート処理を行ってくれるので大きな効果があります。
ストック装置
製品を取出した後、トレイにストックできる装置です。
ストック装置は、トレーが何枚も準備されており、1枚のトレーがいっぱいになると次のトレーが準備される装置です。
今まで、コンベア上で並べると30分ごとに仮梱包しなくてはいけなかったものが、トレーの枚数分余裕がうまれます。
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4.まとめ
本日は、初心者さん向けに解説してきました。
「仕事を覚えるだけでいっぱいいっぱいだよ。」と言いたくなる気持ちはわかります。
ですが、今からしっかりと現場を見る目を養う事で、将来見える景色が変わってきます。
今後、射出成形工場において、省人化はマストです。
まずは、身近な工程改善から不要な人件費を洗い出し手を打っていきましょう。
設備導入に夢見がちになりますが、最後の手段です。
費用対効果が高い改善は意外に身近にたくさんあるものです。
派手さはなくても堅実に改善していく事が、付加価値アップの重要ポイントです。