射出成形技能士としてキャリアを築いていきたいけれども、年収が低いままでは将来が不安だと感じている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、中卒で射出成形企業に入社し、資格取得と転職を繰り返しながら、現在は大手企業で指導者を務めているしんさんにインタビュー。キャリアアップできた理由として、「資格取得」だと断言するしんさん。資格取得が切り拓いたキャリアや指導者としての仕事についてお話しを伺いました!
資格取得が切り拓いたキャリア
射出成形の仕事は、金属加工の陰に隠れる少しマニアックな業種ですが、実は世の中のプラスチック製品の90%以上がこの射出成形加工で作られています。
自動車、家電、食品容器、医療機器、化粧品まで様々な用途でプラスチックは使用されているのです。
得意とする業種や事業規模によって、様々な射出成形企業があり、転職も幅広くチャレンジできる仕事です。
プラ太郎:しんさんは複数回の転職をされていますよね。そもそもなぜ転職を考えたのでしょうか?
やはり年収ですね。以前勤めていた企業では、自分が持っているスキルに対して給料が少ないと感じていました。そこで転職活動をはじめたのです。
プラ太郎:ちなみに、現在の企業に入社して年収はどのくらい上がりましたか?
元々は400万円程度でしたが、転職で約700万円まで上がりました!自分のがんばりに対して、正当に評価していただいている実感がありますね。
プラ太郎:それはすごいですね!とはいえ、年収の希望が叶う企業に転職できる人はそれほど多くないと思います。しんさんが転職活動に成功できた理由はなんでしょうか?
ズバリ、資格です。私は射出成形技能士の2級・1級・特級、そして職業訓練指導員資格を取得しています。やはり国に認められた資格を持っているのは非常に強いですね。
プラ太郎:転職活動では、やっぱり資格を持っていると優位でしょうか?
そうですね。間違いなく選択肢が増えます。特に経験者を採用するのであれば、有資格者を雇うのは当然の発想だと思います。まずは2級、その先もどんどん上を目指していくべきだと思いますね。
資格取得者は、中途採用でも即戦力!?
転職というと、少し前までは良いイメージはありませんでした。しかし時代は変わり、スキルを持った人材はその働く場を自由に選べるようになりました。
射出成形技能士の中途採用の需要は高まってきています。
プラ太郎:射出成形技能士のスキルは、他社に転職しても活かせますか?
射出成形の実務経験を積んだ人材は、めちゃくちゃ重宝されると思いますよ!射出成形業界はどの企業も人材不足です。特に技術を持った技能士は即戦力です。
勤め先の経営方針が変更したり、業務縮小したりと、職場の環境は変動する時代です。短期間でコロコロ転職しなければ、転職することは悪いことではないと感じます。
プラ太郎:複数の企業を転職された経験から、中小企業と大手企業の違いはどういったところにあると感じますか?
まずは、中小はやることが多い印象です。自分一人でマルチに仕事をするため、実力がつきます。私も新卒で入った会社では、材料の準備から製造、金型メンテ、お客様先までの出荷まで、さまざまな経験をしましたね。
ただし、多品種少ロット生産でしたので、長時間労働でかなりのハードワークでした。
一方で大手企業では、規模が大きい分、業務が細かく分かれているため、一部の仕事しか経験できません。
配属先によっては、希望の職務に就けないことがあります。基本的に新卒採用ですが、ここ数年は人手不足のため、大手企業が中途採用することも多くなっています。
プラ太郎:大手企業も中途採用しているんですね!
私が今働いている会社では、オペレーターの高齢化が深刻です。資格を取る意思のある若手であれば、射出成形の未経験であっても採用しているほどなんです。
というのもこれまで、研修体制が整っておらず、見て覚える、古い体質が蔓延していました。これにより、ついていけない新卒社員が多く、資格取得に至るまでに辞めてしまう方がほとんどだったんです。
つまり、大手企業は経験や技術のある若手が足りていません。中小企業でマルチな経験を積んだ人材は引っ張りだこなんです!
プラ太郎:そうなんですね!スキルを付けることでどの会社からも必要とされる人材になれるということですね。転職で自身のスキルをアピールする上でも資格は大事でしょうか?
そうですね。私自身、仕事がきつく給料も安くて、「もうこんな仕事は続けられない」と異業種に転職していく若手を何十人も見てきました。
でも、まずは2級取得までがんばってほしいです。2級を取得できれば、経験者として転職の道を切り拓くことができます。希望に沿った転職ができたのも、資格があったからです。遠回りに思うかもしれませんが、がんばっていただきたいですね。
作業者と指導者、なにが違う?
現在は作業者ではなく、指導者として仕事をしているしんさん。作業者と指導者では求められる役割も異なります。
プラ太郎:作業者と指導者では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
作業者のミッションは、指示された業務を効率的にこなすことです。一方で指導者は、作業をするのではなく、作業者を観察したり適切に伝えたりする力が求められます。
プラ太郎:「観察する」とは具体的にどんなことをしているんですか?
たとえば朝の挨拶。声のハリや表情をみて、健康状態を確認します。その後、私の会社ではラジオ体操をするのですが、そのときもだらだらしていないかをチェックしますね。なにか悩みを抱えていそうだと感じたら、声かけを行います。
工場であれば、安全第一はどこでも鉄則ですよね。これらの観察が労働災害を防ぐことにつながります。
プラ太郎:指導者は、技術を教えるのが仕事だと思っていましたが全然違うんですね!
技術を教えるのはもちろんですが、やはりメンタル面をどれだけ気遣えるかが大事ですね。昭和だったら、「仕事を見て覚えろ」と放置していてもなんとかなったかもしれませんが、今の時代はそれではできません。作業者1人1人をよくみて、心理的なサポートもしながら技術を伝えていく必要があります。
プラ太郎:すごく難しそうです・・・・・・!
はじめの2週間で口内炎ができまくりましたよ(笑)。「あなたは本当に必要な人材なんだ」と伝えながら、モチベーションを高められるようにしています。
資格についても、意欲のある若手には、座学も実学も合格できるようにサポートしています。
プラ太郎:指導者と作業者はまた別のスキルが必要になるんですね。最後に、ここまで読んでくださった方へのメッセージをお願いします!
目の前の仕事や待遇を考えると、投げ出したくなるかもしれません。でもまず、資格取得を目指して、がんばってみてください!そうすればキャリアはきっと切り拓けます!応援しています!
インタビューさせていただいた方を紹介
しんさん
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Plastic Fan
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インタビュアー紹介
この記事は、林 春花 さんにインタビュアーとしてサポートいただいています。
林さんの活動詳細は下記リンクから
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林春花@価値を引き出すインタビューライター|note
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