射出成形工場では24時間稼働を行う企業も多く、夜勤は生産を支える重要な役割を担っています。
しかし夜間は、
- 技術部
- 品質管理課
- 設備保全課
- 管理職
などが不在となることも多く、限られた人数で対応しなければなりません。
そのため、夜勤ではトラブルを完全になくすことよりも、異常が起きたときに適切な判断を行い、被害を最小限に抑えることが重要になります。
ここでは、夜勤で発生しやすいトラブルと、その予防方法を紹介します。

① 品質トラブル
夜勤で最も判断に迷うのが品質トラブルです。
昼間であれば品質管理担当者や技術者に相談できますが、夜間は自分たちだけで判断しなければならない場面があります。
例えば、
- 寸法が規格ギリギリ
- 外観不良か判断できない
- ウェルドラインが少し目立つ
- シルバーや黒点がわずかに発生した
など、「良品か不良品か判断が難しい製品」が発生することがあります。
判断に迷ったら保留する
判断できない製品を無理に良品として出荷してしまうことが、最も大きなリスクです。
そのため、
- 判定が難しい製品は保留品として区分する
- 発生時間・ショット数・箱番号を記録する
- 翌朝、品質管理担当者や技術担当者に判定を依頼する
という運用をあらかじめ決めておくことが重要です。
また、同じ不良が頻繁に発生する場合は、品質を優先してラインを停止する判断も必要です。
「止める勇気」も、夜勤担当者に求められる大切な判断です。

不良を作るムダ|合否判定がつかない時は停止を検討
② 機械トラブル
夜間は設備保全部門やベテラン技術者が不在であることも多く、機械トラブルが長時間停止につながる場合があります。
例えば、
- サーボアラーム
- 油圧異常
- 金型保護異常
- エジェクタ異常
- ホットランナー異常
- 周辺機器の停止
などです。
無理に復旧しようとして状況を悪化させることは避けなければなりません。
情報を整理して引き継ぐ
復旧できない場合は、
翌日の設備担当者がすぐに対応できるよう、情報を整理しておくことが重要です。
記録しておきたい内容は、
- 発生日時
- 使用していた成形機
- 金型名
- 成形品名
- アラーム内容
- 発生したタイミング(型開・型閉・射出・取出しなど)
- 復旧のために実施した内容
- 復旧しなかった理由
さらに、
トラブル発生前後に生産した製品への影響も確認します。
例えば、
- 何ショット目から影響があるか
- どの箱まで良品だったか
- 保留品の数量
などを記録しておけば、翌朝の対応がスムーズになります。
夜勤で最も重要なのは、「自分で直すこと」ではなく、「次の担当者が確実に復旧できる情報を残すこと」です。

③ 人員トラブル
交代勤務では、人員に関するトラブルも少なくありません。
例えば、
- 急な体調不良
- 発熱
- 家庭の事情による欠勤
- 寝坊による遅刻
などにより、予定していた人員で運営できないことがあります。
夜勤は人数が少ないため、一人欠けるだけでも現場への影響は大きくなります。
無理な運営をしない
欠員が発生した場合は、
- 前勤務者が残業対応できるか確認する
- ラインを減産・停止する
- 金型交換など危険作業を延期する
- 応援体制を活用する
など、安全を最優先に判断します。
特に一人での金型交換やフォークリフト作業など、危険を伴う作業は避けるべきです。
生産台数よりも、安全に勤務を終えることを優先しましょう。

④ 天災・災害
地震や台風、大雨などの自然災害は、防ぐことができません。
夜勤では管理者が不在となることも多いため、現場の判断が重要になります。
人命を最優先にする
災害時は、生産よりも人命が最優先です。
無理に設備を守ろうとせず、まずは安全な場所へ避難します。
また、
- 避難場所
- 避難経路
- 緊急連絡先
- 安否確認方法
- 設備停止手順
などを日頃から決めておき、定期的に避難訓練を実施しておくことが重要です。
「災害が起きてから考える」のではなく、「災害が起きる前に準備する」ことが、夜勤体制では特に大切になります。
夜勤で最も大切なのは情報を残すこと
夜勤では、その場で解決できない問題も少なくありません。
そんなときは無理に判断したり復旧を急いだりするのではなく、
- 品質トラブルは保留して翌朝判定する
- 機械トラブルは状況を詳しく記録する
- 人員不足は安全を優先して生産計画を見直す
- 災害時は人命を最優先に行動する
という基本を徹底することが重要です。
夜勤担当者の役割は、「すべてを一人で解決すること」ではありません。異常を正しく発見し、被害を最小限に抑え、次の勤務者へ正確な情報を引き継ぐことが、安定した工場運営につながります。