プラスチック・ファン
特級技能士が教える技能検定対策 「射出成形作業」
にお越しいただきありがとうございます。
プラスチック成形の仕事をする上で、必要な知識をまとめた
【プラスチックの教科書】
を作っていこうと思います。
第8回は「結晶性 と 非結晶性」です。
初心者でもわかる様に簡単にわかりやすく解説していきます。
中級者、ベテランには、「そんなの知ってるよぉ」という内容です。
自身の知識の再確認としてお使い下さい。
一緒に、プラスチックの勉強をしていきましょう!!
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↓前回までのおさらい↓
第1回 プラスチックとは
第2回 プラスチックの歴史
第3回 プラスチックの種類 ①汎用プラスチック
第4回 プラスチックの種類 ②エンプラ
第5回 プラスチックの種類 ③スーパーエンプラ
第6回 プラスチックの種類 ④エラストマー ⑤生分解プラスチック
第7回 石油精製 プラスチックの元
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1.結晶性 と 非結晶性
熱可塑性(ねつかそせい)樹脂は、2つに分類されます。
- 結晶性樹脂
- 非結晶性樹脂
以前、プラスチックというのは、高分子物質といいたくさんの分子が合わさってできているものと説明しました。
結晶性樹脂と非結晶性樹脂では、その分子の繋がり方に違いがあります。
そして、性質も異なります。
(ⅰ)繋がり方
熱可塑性樹脂は、基本的にひもの様な形をしています。
そのひもの様な形をした分子の繋がり方が異なります。
【非結晶性樹脂】
非結晶性樹脂はその繋がりが鎖のようになっています。
特徴は、規則性がないことです。
【結晶性樹脂】
一方、結晶性樹脂は、ひもの様な樹脂が規則性を持って繋がっています。
完全に規則的ではありませんが、部分的に規則正しく配列した「結晶組織」をもっています。
全体に占める結晶組織の比率を結晶化度といいます。
下図の黄色丸が結晶組織です。
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(ⅱ)成形収縮率
結晶性樹脂は、成形収縮率が高い。
結晶性樹脂の結晶組織の割合が大きくなるほど(結晶化度が大きくなるほど)、収縮率は高くなります。
収縮率が高いと、寸法精度がシビヤや製品には不向きの時があります。
(ⅲ)耐有機溶剤性
非結晶性樹脂は、有機溶剤に弱い。溶解しやすい。
生活の中でも、洗面台や水回りのプラスチック部に、洗剤・化粧品・油・ワックスなどの化学製品が付着する事で亀裂が生じることがあります。(ソルベントクラックという)
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(ⅳ)透明性
非結晶性樹脂は、基本的に透明です。(添加剤などによって不透明になることがある。)
一方、結晶性樹脂は、不透明です。
2.結晶性樹脂の仲間
結晶性樹脂の仲間は次の通りです。
- PE(ポリエチレン)
- PP(ポリプロピレン)
- PA(ポリアミド)
- POM(ポリアセタール)
- PET
- PBT
- PPS
- PEEK
- 液晶ポリマー
【解説】
・PETは結晶性樹脂なのに、透明です。これは成形時の温度管理(冷却)がポイントです。結晶構造を減らすことで透明性を出しています。
・PPやPEは耐薬品性に優れるため、薬品・洗剤・医療機器などの容器に使用されます。
3.非結晶性樹脂の仲間
非結晶性樹脂の仲間は次の通りです。
- PVC(ポリ塩化ビニル)
- PS(ポリスチレン)
- PMMA(アクリル樹脂)
- ABS樹脂
- PC(ポリカーボネート)
- m-PPE
- PES
- ポリエーテルイミド
- ポリアミドイミド
【解説】
PMMA、PCなど透明性と耐衝撃性、耐紫外線に優れ様々な用途で使用されますね。