前回は、プラスチック成形業の仕組みを解説しました。
おさらいは前回記事を参考にして下さい。
さて、本日のテーマは、
【付加価値】についてです。丁寧に噛み砕いて解説していきます。
- 付加価値とは
- 付加価値を増やすには
対象は、
- 20~30代の初心者
- 新人教育担当者
となります。
製造業の基本をしっかり学んでいきましょう。
目次
1.付加価値とは
こちらは前回記事でお話しましたが、復習も兼ねて説明します。
お客様に商品を納品すると、【売上】が発生しますね。
製造業の流れの通りこの【売上】から必要経費を引いた額が、【付加価値】となります。
製造業の流れ
原料→加工→売上 ですので
会社を通す事で価値がUPすると言えますね。
言い換えれば
【自社が産み出した価値】のことです。
付加価値は、【儲け】【利益】ともいいます。
2.付加価値を増やすには
結論から申し上げると、付加価値を増やすには
- 仕入れを下げる
- 経費を下げる
- 売上を上げる
1つずつ説明していきましょう。
(ⅰ)仕入れを下げる
射出成形工場における仕入れは、買い入れるモノですので
- 原料
- 梱包資材 など
を、安く仕入れることです。
①原料
- お客様からの仕入れるも原料
- 自社で調達する原料
がありますね。
1.お客様から仕入れる原料
こちらは、安くする事はなかなか難しいです。
2.自社で調達する原料
反対に自社で調達する原料は安く仕入れる事が可能です。
【自社で調達する原料を安く仕入れる方法】
- 仕入れ先を変える
- 仕入れる量を変える
- 原料を変える
a.仕入れ先を変える
原料は、原料メーカー、商社、着色屋などから調達しますね。
原料の取り扱いは、各社で得意不得意があるので、他の会社から仕入れる事で大きく下げられることもあります。
b.仕入れ量を変える
仕入れ量を多くする事で、割安に仕入れられます。
発注頻度が減れば人件費は減りますが、保管費用は増えてしまうのでバランスが重要です。
c.原料を変える
各社原料メーカーは、特性の同じ又は似ている原料があります。
海外から輸入している原料を、国産原料に変える事で大きく下げることも可能です。
②梱包資材
梱包資材は、大きく仕入れ金額を下げられる可能性があります。
今インターネットで調べれば、いろんなサービスがあります。
梱包資材は基本的に汎用性が高いです。
ネットで簡単に【最安値】がでてきます。
うまくネットを活用して仕入れ額を下げましょう。
(ⅱ)経費を下げる
加工するための経費は様々です。
- 電気代
- 人件費
- 設備(成形機、車両)償却費
- 設備の消耗費
- 営業費 など
今回は、人件費について解説しましょう。
①人件費
やはり一番は人件費です。
- 慣習による無駄な残業
- 人の手が多くかかる工程
- 効率の悪い生産
要因は様々ですが、【省人化】は今の時代でマストです。
対策として、
- しっかりと計画を立てる
- 工程改善
- 自動化
a.しっかりと計画を立てる
1番効果的なのは
【しっかりとした生産計画を立てる】ことです。
段取り8分と言いますが、しっかりと計画を立てる事が重要です。
先の計画が見通せれば、生産は安定、無駄な残業もなくなり、従業員への負担も軽減されます。
いい事づくめですね。
b.工程改善
計画の次は、工程です。
工程を見直す事で、人件費は確実に下がります。
【ムダ取り】という言葉がありますが、徹底的にムダを取りましょう。
マニュアル化することで、さらに人件費を下げて行きましょう。
c.自動化
今後、確実に人件費は高騰していきます。
人口減少は加速していきます。
人件費が、付加価値を圧迫するのは目に見えている未来です。
人件費にかける経費を設備に投資し自動化を進めましょう。
製造業は、単純反復作業の集まりです。
そんな単純反復作業はロボットに任せましょう。
また、出来高入力や伝票作成などは、どんどんパソコンを利用して作業を軽くしていきましょう。
(ⅲ)売上を上げる
売上を上げれば付加価値は上がります。
しかしこれは難しいですね。
商品の売値は決まっていますので、単価は上げられません。
ですので、注文数を上げる事で付加価値を上げる事ができます。
- 営業力
- 生産能力
- 安定品質
- 納期厳守
- 法令順守
など、しっかりと実績を積み重ねて行く事で、注文を多く頂けるよう努力していきましょう。
3.次回予告
付加価値の上げ方を解説して行きました。
逆に付加価値がガクッと下がってしまうことがあります。
次回は、【付加価値と不良】の関係を解説していきます。